事業分野と知的財産活動

(1)情報機器事業

情報機器事業は、MFPを主力商品として扱うオフィスサービス分野と、商業印刷や企業内印刷で用いられるデジタル印刷システムを扱う商業・産業印刷分野に大別できます。

(1-1)オフィスサービス分野

近年、オフィスサービス分野では、MFPの性能向上を追求した開発だけでなく、MFPとICTサービスを連携させることによって、お客様のオフィス環境を最適化するソリューションを提供しています。例えば、番組やニュースなどの情報が生命線となるテレビ局に、当社の「INFO-Palette Cloud(インフォパレットクラウド)」*9サービスの技術を応用した「クラウド型プリント情報交換網」を提供しました。従来、系列局間での情報の伝達手段としてFAXを使用していました。ところが、大規模災害発生等の緊急事態において、電話網が通常の機能を果たさなくなった場合、FAXの送受信が困難となるため、安全性と信頼性の面で課題がありました。さらに、FAXの画質やコストも課題となっていました。

この「クラウド型プリント情報交換網」は、MFPとクラウドサービスを連携させることで、既存のワークフローを変えずに、生産性と信頼性を高めます。全国各地の系列局にMFPを設置し、ある放送局のMFPでスキャンした番組等の情報を一旦当社のクラウドに送信します。そして、クラウドにおいて、複数の系列局のMFPに対して番組等の情報のプリントを指示することで、既存のFAXを使用したワークフローを維持しながら、電話網を使うことなく、各系列局において番組等の情報を伝達することができます。

このような、MFPとICTサービスとを組み合わせたソリューション関連技術を知的財産面から支援すべく、ワールドワイドで戦略的な特許出願を推進しています。これにより、着実に特許群を構築しており、2015年度末時点での同技術に関する特許出願の公開件数は、1,000件以上に達しています。

クラウド型プリント情報交換網の概略イメージ

(1-2)商業・産業印刷分野

bizhub PRESS C71cf

商業・産業印刷分野では、長尺のラベル紙にプリントを行うラベル印刷システムの開発を進めています。2015年度には、「ラベルエキスポヨーロッパ2015」にて、MFPと同じ電子写真方式でラベル紙に印刷を行うデジタル・ラベル印刷システム「bizhub PRESS C71cf」*10を出品しました。商業・産業印刷分野では、多品種少量の印刷注文が引き続き増加しているため、印刷会社は、短納期で多種多様の注文に応じる必要があります。デジタル印刷は、その柔軟性により、従来のアナログ印刷機では困難であった印刷注文を効率的に処理することができます。

「bizhub PRESS C71cf」は、印刷時間を短縮し、多種多様の少量印刷注文にオン・デマンドで対応でき、印刷顧客毎の管理、バージョン管理に最適です。優れた生産性に加え、電子写真方式で実現した鮮やかな画質と、優れた使いやすさも提供しています。新たな印刷市場の拡大と既存のアナログ印刷機の補完利用にも最適です。

このようなラベル印刷関連技術について、特許出願にも注力しており、現在、約100件の特許出願が公開されています。

(2)産業用材料・機器事業

産業用材料・機器事業における機能材料分野では、写真用フィルムで培った技術を活用し、液晶ディスプレイ用偏光板保護フィルムを中心に、有機EL照明や機能性フィルムの製造・販売を行っています。当社の提供する偏光板保護フィルムは、スマートフォンやタブレットといった中小型パネルや、大型液晶テレビなどの大型パネルなどで幅広く使用されています。

2015年度には、偏光サングラス着用下でも液晶ディスプレイの本来の色を再現可能な「QWPフィルム」*11を開発しました。従来、偏光サングラスをかけてディスプレイを見ると、角度によっては画面が真っ暗に見えたり、変色して見えたりするという課題がありました。近年は、スマートフォンやタブレットの屋外での使用が普及し、偏光サングラスをかけてこれらのディスプレイを見る機会が増え、この課題に対する対応ニーズが高まっていました。QWPフィルムに関する技術について、特許出願に注力した結果、2015年度末時点で、ワールドワイドで約200件の特許出願が公開されています。

偏光サングラス着用時の見え方イメージ(QWP フィルムあり、QWP フィルムなし)

(3)ヘルスケア事業

ヘルスケア事業では、X線画像診断装置や超音波画像診断装置などの医療用画像診断システムの製造・販売や、医療ITソリューションのサービス提供を行っています。

医療ITソリューションでは、電子カルテや診断画像等の情報を複数の診療機関でインターネットを通じて共有可能とする医療連携ネットワーク構築サービスのほか、在宅医療を支援するためのクラウドサービスなどを提供しています。2015年度には、医療ITソリューションサービスを提供する米国のViztek LLC(以下、Viztek社)を買収しました*12。米国では、医療保険制度改革による医療の効率化の取り組みが加速しており、診療機関相互での診断画像情報や診察情報の共有化のニーズが高まっています。成長が見込まれるプライマリーケア(初期診療)市場で、当社が持つ画像診断技術とViztek社が保有するITソリューションを組み合わせて、一層の診療の質向上と効率化の診療価値を提供していきます。この医療ITソリューションの事業を支援すべく、特許出願に注力した結果、2015年度末時点で、ワールドワイドで約180件の特許出願が公開されています。

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