ニュースリリース

独自のナノテクノロジーで開発した蛍光ナノ粒子による検出技術を用いた
病理標本作製サービスを開始

2015年4月27日

コニカミノルタ株式会社(本社:東京都千代田区、社長:山名 昌衛、以下 コニカミノルタ)は、この度、創薬研究分野を対象とした蛍光ナノ粒子による病理標本作製サービスの提供を日本市場にて2015年7月から開始します。

技術の概要

医療、ライフサイエンスの分野で細胞イメージングや生体イメージングの研究開発に利用され、注目されている蛍光検出技術の一分野として、有機蛍光色素を用いた検出技術がありますが、従来の有機蛍光色素を用いた場合には、1)褪色する、輝度が低い、2)感度や定量性が低い、という課題がありました。

コニカミノルタではこの課題に対応するべく、銀塩写真用粒子の開発で培った技術を応用したナノサイズの蛍光体粒子(蛍光ナノ粒子)を開発いたしました。この蛍光ナノ粒子は、褪色の課題を解決し、同時に高輝度化も達成するとともに、抗体を結合して病理染色に応用することで、がん組織の特定タンパク質の検出感度と定量性の向上を図ること可能になりました。

本研究開発は、独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施する「がん超早期診断・治療機器の総合研究開発プロジェクト」の一つとして実施されたものです。

病理標本作成サービス(有償)について

新開発の蛍光ナノ粒子と抗体を結合して病理染色に応用する技術により、臨床試験において最も広く利用されている検体(ホルマリン固定パラフィン包埋組織)を用いてHER2*1、Ki-67*2、c-MET*3、PD-L1*4を対象マーカー(今後順次追加予定)とした蛍光ナノ粒子染色標本を作製し、顕微鏡画像、画像解析*(オプション)を提供するサービスを開始します。

*画像解析には対象となるタンパク質の発現量を数値化できる特徴があります。

本サービスは、第104回日本病理学会総会における企業展示ブースにてご紹介します。
同総会における企業展示は株式会社 医学生物学研究所(本社:愛知県名古屋市、社長:佐々木 淳)の協力を得て、また標本作製サービスは同社の関連会社である株式会社 新組織科学研究所(本社:東京都青梅市、社長:佐々木 淳)の協力を得て実施します。

コニカミノルタは、お客さまへの約束「Giving Shape to Ideas」のもと、コア技術であるナノテクノロジーを駆使した体外診断分野での研究開発を加速し、当該サービスを皮切りに、先進的技術を通じてライフサイエンスにおける社会的課題の解決に貢献してまいります。

※第104回 日本病理学会総会について

開催場所 名古屋国際会議場
開催日時 2015年4月30日(木)~5月2日(土)

(1)ランチョンセミナー

開催場所 名古屋国際会議場 2号館1階 展示室211
開催日時 2015年5月1日(金)12:00-12:50
タイトル 最先端のナノテクを駆使した次世代病理診断
座長 渡辺 みか先生(東北大学病院 病理部)
演者 権田 幸祐先生(東北大学大学院 医学系 研究科 医用情報技術科学講座)
多田  寛先生(東北大学病院 乳腺・内分泌外科)

(2)展示

展示場所 名古屋国際会議場 イベントホール
展示日時 2015年4月30日(木)~5月2日(土)
内容 顕微鏡及び展示モニターを用いた蛍光ナノ粒子による標本作成サービスの紹介

*1HER2:HER2は細胞の膜に存在する受容体(レセプター)であり、これがたくさんある乳がん(HER2タンパクが高発現している、HER2陽性乳がんと言います)はがん細胞の増殖が速く、予後は不良であることが知られています。また、HER2 を標的にした治療薬はHER2陽性の乳がんのみに有効であることから、HER2の発現状況の検索が必須になっています。

*2Ki-67:細胞が分裂しようとしている時に出てくるタンパク質であり、細胞の核に局在します。細胞の増殖の能力を示す物質と考えられており、悪性度の判定に用いられています。

*3C-met:HGFをリガンドとする受容体型チロシンキナーゼであり,細胞の増殖や遊走,浸潤といったさまざまな細胞機能発現に重要な役割を果たす一方で,その遺伝子増幅や過剰発現などが癌の悪性化や耐性化に寄与していることが知られています。

*4PD-L1:多くの異なるタイプのがんで発現が上昇しており、その相互作用を標的とする治療法が有望であることが前臨床試験で示されている。

出典

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