ニュースリリース

人行動に関連するAI技術の開発で
「MIRUインタラクティブ発表賞」をダブル受賞
「ゼロショット異常行動認識」と「高速・高精度人物行動認識」

2022年8月29日

コニカミノルタ株式会社(本社:東京都千代田区、社長:大幸 利充、以下 コニカミノルタ)は、2022年7月に開催された「第25回 画像の認識・理解シンポジウム(MIRU2022)」で発表を行い、人行動に関連するAI技術の開発で「MIRUインタラクティブ発表賞」を2件受賞しました。

「MIRU」は、「電子情報通信学会パターン認識・メディア理解(PRMU)研究会」と「情報処理学会コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)研究会」が共同で開催している国内最大級の画像認識系会議です。今回のMIRUインタラクティブ発表賞は、対象となる348件の発表のうち、発表の創意工夫に優れたもの、特に、活発な議論の題材を提供したもの11件に贈られました。この度の受賞は、コニカミノルタの人行動に関連するAI技術が、価値ある研究として多くの研究者に認められた結果だと考えています。

【受賞者と受賞テーマ】

コニカミノルタ株式会社
技術開発本部 FORXAI開発センター
AI技術開発部
 関井 大気、佐藤 文彬、八馬 遼
「事前学習済みDNNを用いたゼロショット異常行動認識」
「Structured Poolingを用いた複数の人物骨格と物体輪郭からの人物行動認識」

【研究の内容】

コニカミノルタでは、独自の「FORXAI(フォーサイ) Imaging AI」骨格検出技術(以下 骨格検出技術)として、AIが映像中の人物を検知し、その骨格を高速に検出することで、どのような姿勢をとっているかを推定する技術を開発し、行動認識などのアルゴリズムと組み合わせて製造、リテール、介護などの事業に活用しています。この技術は、情報機器や医療機器の画像処理で高速化を追求してきた経験を活かして、認識精度の高さと高速処理を両立しているだけでなく、エッジコンピューティングによって低消費電力・低コストも実現しています。

ひとつ目の受賞である「ゼロショット異常行動認識」は、異常行動を機械学習させるのに異常シーンの正解付き動画を一切利用しない「ゼロショット学習」技術であり、しかも15秒という短時間の学習にもかかわらず、一部の教師あり学習手法に匹敵する精度を達成しました。ここでは異常行動を判断する際、骨格検出技術のほかに、行動を文章に置き換えて比較する最新の自然言語処理技術を併用することで、検出精度を高めています。
人物の異常行動認識は、事故や犯罪を予防するための活用が期待されていますが、教師データ作成や学習時間の長さなどが課題であり、これらをゼロショット学習を用いる新たなアプローチで解決していきます。

M. S. Ryoo, and J. K. Aggarwal. UT-Interaction Dataset, ICPR Contest on Semantic Description of Human Activities (SDHA). In ICPR Workshops, 2010.の画像を利用。

ふたつ目の受賞である「高速・高精度人物行動認識」では、人物骨格と物体輪郭を同時に検出して行動を認識するまでを、従来*の211倍である約1,900FPSの速度に高めることに成功しました。ここでは、動画の中から人物骨格と物体輪郭のみを点群として効率的に捉えることで、処理するデータ量を大幅に削減し、高速化を実現しました。また、物体輪郭から物体の種類を検出し、骨格の動きと組み合わせることで行動認識の精度も向上させており、さまざまな用途への応用が期待できます。

【コニカミノルタの人行動に関連するAI技術実績】

2018年介護施設向けサービス「HitomeQ(ひとめく) ケアサポート」に導入
2019年ランニングフォーム改善支援システム「Runalytic(ラナリティック)」開発
2021年FORXAI Recognitionの骨格検出アルゴリズムによるMFP組み立て工程改善
2022年GROOVE Xの次世代型ロボット「LOVOT(らぼっと)」の新機能として実用化


【 画像IoTプラットフォーム「FORXAI」について 】

「FORXAI」は、職場や現場が抱える課題を見える化し、解決することで、DXを加速させることを目的として開発された画像IoTの共創型統合プラットフォームであり、コニカミノルタ固有の技術に加え、パートナー企業の保有するさまざまなIoTやAIの技術で構成されています。


この度の受賞者も、画像を中心とした高速・高精度なAI処理の技術群「FORXAI Imaging AI」において、AI開発に日々取り組んでおり、すばやく高品質なソリューションを創出することで、世界中の働く現場の進化や安全・安心な社会の実現への貢献を目指しています。

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