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産学共創の大阪大学腸活プロジェクト2019 結果報告
腸内フローラ見える化サービス「PonPon CODE」による測定結果

2020年5月18日

コニカミノルタ株式会社(本社:東京都千代田区、社長:山名 昌衛、以下コニカミノルタ)の新規事業開発を行うBusiness Innovation Center(BIC)Japanは、2019年10月に産学共創の「大阪大学腸活プロジェクト」に参画しました。この度、BICが提供した腸内フローラ見える化サービス「PonPon CODE」によるデータ収集と分析が完了しましたので、結果を報告します。

【分析結果のポイント】

  • 発酵性食物繊維とビフィズス菌などのシナジー摂取によりビフィズス菌やフィーカリ菌などの代表的な善玉菌の占有率が有意に増加。お通じの調子も、特に下痢気味悩みの回答者が減少し、調子が良いと答えた回答者の割合が増加
  • 腸の健康に対する理解が深まり、食物繊維などの腸活に有効な食材の継続摂取に対する意欲が向上

(阪大生45名による2週間の「腸活チャレンジ」を通じ得られた有効サンプル36名分を解析)

【当プロジェクト実施の背景と概要】

本プロジェクトは、”人生100年時代を生き抜く健康リテラシーの向上”を目的に、大阪大学生(以下、阪大生)を主体として企業・大学の連携を通じて推進された健康啓発プロジェクトです。腸活実践グループ「阪大腸活部」が考案した様々な取り組みを通じて、阪大生の「腸の健康」に対する意識向上を目指しました。そのコア・プロジェクトとして進められたのが「阪大腸活チャレンジ」で、公募により集まった45名の阪大生が参加しました。

  • 実施目的:腸活実践を通じた腸の健康に対する意識向上
  • 実施期間:2019年10月16日から10月31日(土日を除く)
  • 調査方法:コニカミノルタの腸内細菌検査サービス「PonPon CODE」(アンケートは同サービスのスマートフォンアプリを通じて実施)
  • 参加者:大阪大学に所属する学生45名(最終有効サンプル回収数:36名)

【プロジェクトの特長】

介入1:約2週間の朝腸活による食事介入

「阪大腸活チャレンジ」では、10月16日から10月31日までの約2週間の期間において、大阪大学・豊中キャンパス図書館下食堂において、毎朝、ケロッグの腸活シリアル「オールブラン フルーツミックス」と江崎グリコ「BifiXヨーグルト」を中心としたセットメニューを提供し、腸内環境の改善につながる発酵性食物繊維やビフィズス菌、乳酸菌の継続摂取にチャレンジいただきました。

介入2:SNSなどを通じた腸の健康に関する啓発企画実施による情報介入

参加者への腸活セミナーの実施、ツイッターを通じた情報発信や食堂内のトレイを利用した啓発ステッカーの掲出などを通じ、阪大生の腸の健康への意識向上を目指しました。

介入3:阪大発の腸内細菌検査テクノロジーの活用による“見える化”

チャレンジ前後の腸内環境改善の成果を測定するツールとして、コニカミノルタと大阪大学大学院工学研究科の共同研究により開発された腸内細菌検査サービス「PonPon CODE(ポンポンコード)」を活用。継続的な腸活を通じた腸内環境改善効果の「見える化」を行いました。

【分析結果の詳細】

A) 事前アンケートを通じた参加者全体の生活習慣に関するプロファイル

  • 通学以外の運動習慣があるのは、全体の47%
  • 睡眠は6~7時間取っているが、満足度はやや低め
  • 56%の参加者は3食食べられているが規則性やバランスは低い
  • 28%の参加者が便秘に悩んでいる
  • ヨーグルトや食物繊維の摂取習慣をもつ参加者は、全体の30%以下と低い割合に留まっている

B) 腸活チャレンジ結果の前後比較

① 腸内細菌の変化について 〜腸内細菌検査結果の前後比較より

ビフィズス菌・フィーカリ菌などの”善玉菌”の占有率が有意に増加。チャレンジ前後の比較では最大約3割の増加傾向を示す。

【参考】
ビフィズス菌やフィーカリ菌などの善玉菌(人体に有用な腸内細菌)は腸管バリア機能を高めると言われる酪酸などの短鎖脂肪酸を作り出す働きをもち、腸の機能の維持に貢献すると言われている。

② 便通状態の変化について〜事後アンケート結果より

お通じの調子も、特に下痢気味の回答が減り、「調子が良い」との回答が増加

③ 食事意識に関する変化〜事後アンケート結果より

腸活情報の提供により、食物繊維などの摂取意欲が向上

④ 腸の健康に対する理解の変化〜事後アンケート結果より

結果の“見える化”がポイント?!腸内に関する理解が進み、腸活のヒントが得られ具体的な行動を引き出している可能性がある。

C) 分析結果に関する考察

「正しい菌育」のポイントは、発酵性食物繊維とビフィズス菌の同時摂取の習慣化にあり
大阪大学 キャンパスライフ健康支援センター センター長 守山 敏樹:

今回のプロジェクトでは、腸内細菌という見えない存在を意識し、普段の食生活の中から腸の健康を考えて行くことを目的としました。その意味でも、腸にマイナスな食生活や生活習慣に対する課題点を参加者が広く認識し、習慣改善に向けた意識の芽生えにつながった点、素直に嬉しく感じております。毎朝の美味しい“腸食”に加え、最新技術により“見える化”された自身の腸内細菌の姿を知り、参加学生も様々な「気づき」を得ることができたのだと思います。

特筆すべきは、わずか2週間の食習慣改善ながらも、善玉菌の割合が一定に増加し腸内環境の改善傾向が示された点です。要因の一つとして考えられるのが、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌の直接摂取に加え、多様な腸内細菌のエサとなる発酵性食物繊維の継続摂取による“菌育効果”にあるのではないかと推察されます。事前の傾向としても、「おなか」の悩みを抱える学生が多い半面、食生活では、腸の餌となる食物繊維の不足が1つの課題として指摘されていました。特に今回は、ビフィズス菌やフィーカリ菌などの善玉菌群が増加していますが、これらの菌が作り出す酪酸(短鎖脂肪酸の一種)は、腸管バリア機能を高めると言われ、まさに腸からはじまるカラダの健康全体にも貢献する存在と言われています。学生には、プロジェクトで得た気づきを今後も習慣として継続していただければと思いますし、是非、今回の取り組みをより幅広いテーマへと発展させていただければと期待しています。

*本プロジェクトは学生の健康意識改善を目的に実施されたヘルスケアプロジェクトであり、共同研究契約に基づく成果ではございません。

D) 腸活チャレンジ参加者のコメント

大阪大学工学部2年 川上幸起さん(阪大腸活部メンバー)

今回のプロジェクトには、企画と参加の両面から携わらせていただいたので、このような結果がでて大変嬉しく思います。今回、毎日の食事が、見えないお腹の健康にここまで大きな影響を与えているという事実を、改めて実感しました。結果をPonPon CODE(ポンポンコード)で「見える化」したことで、「腸の健康」を”自分の課題”として捉え、より効果的な腸活につなげることができました。腸活は初めてでしたが、提供されたシリアルとヨーグルトのセットは手軽で美味しく、取り入れやすい食習慣だと感じています。今後も腸活習慣を持続させていきたいと思います。

【コニカミノルタ PonPon CODE(ポンポンコード)について】

大阪大学大学院工学研究科助教の齋藤真人氏らが研究開発した、PCRによる迅速簡便安価なDNA解析技術「μOCEAN(マイクロオーシャン)」を活用し、腸内フローラに属する特定の腸内細菌群(ビフィズス菌や乳酸菌など)のバランスを短時間で測定できる解析サービスです。心身の健康に大きな影響を与える腸内環境を示す指標である“腸内フローラ”のバランスを知るには、従来、数十日の時間を必要としていましたが、PonPon CODEを利用することにより、最短1日で測定結果を知ることが可能となります。今回の阪大腸活プロジェクトは、今後の社会実装に向けた実証実験の一環として参加しています。

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