中期経営計画 (2023-2025) の進捗

中期経営計画の基本方針と各事業の位置づけ

事業の選択と集中により、高収益企業への回帰を目指す

本中期経営計画では、「事業収益力の強化」「収益基盤強化のために構造改革を実行」「事業管理体制の強化」の3つの取り組みを通じ、財務・非財務目標を確実に達成するとともに、成長軌道を描き、高収益企業への回帰を目指します。
「事業収益力の強化」に向けては、事業の選択と集中を図り、強化事業の成長を追求するとともにオフィス事業の収益力を強化し、事業貢献利益の増大を目指します。「収益基盤の強化」については、事業の選択と集中に加え構造改革を実行し、コスト圧縮を進めます。「事業管理体制の強化」については、事業のパフォーマンス明確化と選択と集中を加速する仕組みの構築に取り組みます。

事業の選択と集中を図るため、各事業の位置づけを見直し

本中期経営計画においては、事業の選択と集中を図るため、各ビジネスユニットの位置づけを「強化事業」「収益堅守事業」「非重点事業」「方向転換事業」の4つに見直し、各事業に対する期待と役割を明確にしています。
強化事業は、さらなる事業拡大によりコニカミノルタの成長をけん引します。収益堅守事業は、安定的なキャッシュの創出を担い、さらに収益力を強化していきます。非重点事業は、第三者資本の活用も視野に入れてベストオーナー視点であり方を定めていく事業です。方向転換事業は、事業の全部あるいは一部の方向性を再設定し、選択と集中を完遂したのちに成長軌道に乗せていきます。

各事業の位置づけ

※1インダストリー強化領域:センシング + 機能材料 + IJ コンポーネント + 光学コンポーネント(産業用途)

※2プロフェッショナルプリント強化領域:プロダクションプリント + 産業印刷

2024年度の経営改革の成果

過去からの決別を期した経営改革を2023-2024年度で完遂

2024年度は多くの経営改革に取り組み、計画した施策はすべて完遂しました。

事業の選択と集中

非重点事業においては、プレシジョンメディシンは譲渡契約の締結、マーケティングサービスはMPMサービスの譲渡契約の締結、光学コンポーネントは中国生産子会社1社の持分譲渡契約の締結が完了しました。
方向転換事業においては、DW-DXは展開国・地域とサービス商材を絞り込みました。画像IoTソリューションは、展開国・地域の絞り込みや欧米での構造改革を実行したほか、Mobotix社の譲渡契約を締結しました。これらの施策により、非重点事業、方向転換事業の赤字が縮小し、2025年度には黒字化を予定しています。

MPM:マーケティング・プリント・マネジメント。大手グローバル企業のマーケティング部門を対象としたサービス。

収益基盤の強化

情報機器事業においては、オフィスユニットを中心に収益が着実に拡大しています。また、富士フイルムビジネスイノベーション株式会社との合弁会社「グローバルプロキュアメントパートナーズ株式会社」を設立し、原材料および部材の強固な供給体制の構築を進めています。また今後の情報機器の生産効率の観点から、中国・無錫の生産工場での生産を終了し、中国・東莞とマレーシア、日本に生産拠点を移転しました。生産体制の再編によりグローバルでの供給網を複線化させ、生産体制の最適化を図ります。
グローバル構造改革においては、人的資本の最適化およびDXを推進し、当初の計画を上回る効果を得られる見通しです。
また財務基盤の強化に向けて、事業譲渡によって得られたキャッシュを中心に有利子負債の削減を進めており、2025年度末に向けて計画通り進捗しています。

中期経営計画で強化事業と位置づけた一部のビジネスユニットにおける、収益性の悪化や成長の遅れについては経営課題と認識し、引き続き改善に向けた取り組みを加速していきます。

事業の選択と集中と、収益基盤の強化の成果

事業管理体制の強化

「事業管理体制の強化」では減損の予兆モニタリングの強化や新規事業開発のプロセスの見直しなど、成長を支える基盤づくりや企業文化の変革などに取り組んでいます。

事業管理体制の強化の成果

「事業の選択と集中」「グローバル構造改革」の成果

非重点事業の譲渡と方向転換事業の戦略見直しによって事業貢献損失が縮小

非重点事業については第三者資本の活用を検討し、先述の通りプレシジョンメディシン、マーケティングサービス、光学コンポーネントのそれぞれのビジネスユニットで譲渡契約を締結し、2025年度中にはすべての契約について譲渡まで完了する見込みです。
方向転換事業についてはDW-DX、画像IoTソリューションでそれぞれ成長戦略の方向性を再設定し、施策を実行しました。
本中期経営計画前の2022年度は、非重点事業、方向転換事業を合わせて事業貢献損失が205億円ありましたが、これらの施策の結果、2024年度は47億円と損失幅を大きく削減しました。2025年度には黒字化を予定しています。

グローバル構造改革の完遂によりコスト削減効果が発現

グループ全体の生産性を向上させるため、グローバル構造改革として人的資本の最適化を図ると同時にDXを推進し、一人当たりの生産性が高い組織への変革を目指しています。
人的資本の最適化については、2025年度における当初計画と比較して2,400人規模の削減を予定していましたが、複数の機能や地域で追加の施策を実行し、グループ人員減少数は当初の想定を上回る結果となりました。
費用としては2024年度に約200億円の一過性費用計上を見込んでいましたが、追加の施策をあわせて約190億円に圧縮することができました。また効果は、2024年度に約100億円の利益改善となりました。2025年度はさらに約140億円の利益改善効果を生み出し、合計約240億円の効果を見込んでいます。
また人員数を抑制しながら持続的な成長を続けるため、DXによる業務の生産性向上を推進しています。生成AIの活用など業務の自動化を図り、従業員が人にしかできない付加価値の高い業務にシフトできるよう進めています。
販売・サービスや生産・開発などの領域では、デジタルデータとAIの活用を進め、業務の質と効率を高めることで、生産性の向上とお客様へのサービス向上に努めました。2025年度は、数多くあるDX推進テーマのなかから、投資対効果が得られるものを中心に積極的に推進していく予定です。DXを通じて収益性を改善し、今後の成長領域への投資に備えていきます。

2025年度のV字回復と今後のさらなる成長に向けて

Turn Around 2025―事業成長と経営改革の効果の創出によりROE5%を目指す

本中期経営計画の最終年度である2025年度は、「Turn Around2025」と位置づけ、コニカミノルタを再び成長軌道に戻す基盤を構築します。
財務目標としては、ROE改善を最も優先順位の高い目標としています。事業の選択と集中を通じて当期純利益率を向上させ、また運転資金や棚卸資産などを最適化し、バランスの取れた財務基盤を構築することで、ROE5%の達成を目指します。
売上高は、事業の選択と集中により一部の事業を譲渡した影響で、2023年度の計画設定当初からは減少しますが、事業貢献利益率は経営改革の効果もあり、計画通り5%以上を達成する見込みです。
強化事業については、一部事業で成長の遅れがあるものの、各事業の課題を見極め、それらに対する施策を実行することで事業を成長させます。具体的には、産業印刷では新製品の投入などにより成長を加速します。また、機能材料では注力分野のシェア拡大、センシングとヘルスケアでは収益性の改善を図ります。
また非財務指標として従業員エンゲージメントの向上、CO2排出削減にも取り組んでいます。
本中期経営計画ではROE5%を最優先に取り組んでいますが、並行して、今後の「成長の芽」として中長期の利益成長を目指した技術の育成にも取り組んでいます。次期中期経営計画以降でROE8%、そしてさらなる成長を目指し、引き続き企業価値を向上させていきます。

主な財務目標
2023年度実績 2024年度実績 2025年度予想 2025年度
中期計画
(2024年4月時点)
売上高(億円) 11,599 11,278 10,500 10,500
事業貢献利益率 2.2% 2.8% 5.0% 5%以上
ROE 0.9% -9.5% 5% 5%以上
主な非財務目標
2023年度実績 2024年度実績 2025年度計画
従業員エンゲージメントスコア 6.8 6.8 7.7
自社製品ライフサイクルのCO2排出 2005年比削減率 63% 62% 61%以上
排出量 75万トン 78万トン 80万トン以下
お客様・社会のCO2削減貢献量 63万トン 68万トン 80万トン以下

2025年度 事業別の戦略課題と施策

※1AI SaaSサービス:AIを用いた通訳、ナレッジマネジメント、学習支援などの自社開発サービス

※2SANUQI:ディスプレイ用の電子デバイスの構成部材として使用される、COP素材の新樹脂フィルムの商標。耐水性、耐熱性、透明性に優れた特性を有するフィルム

※3SAZMA:ディスプレイ用の電子デバイスの構成部材として使用される、アクリル素材の新フィルムの商標。従来品にはない表面加工のしやすさと光学等方性が特長のフィルム

※4HPP:Heavy Production Print、月間耐久印刷量100万枚以上、商業印刷向け商品

※5MPP:Mid Production Print、月間耐久印刷量30-100万枚、商業印刷向け商品

PDF版 分割ダウンロード

コニカミノルタの存在意義 (PDF:1.8MB)

  • コニカミノルタフィロソフィー
  • 技術の系譜
  • 事業とプレゼンス
  • 価値創造プロセス
  • 財務・非財務ハイライト

中長期の経営戦略 (PDF:2.0MB)

  • CEOメッセージ
  • 中期経営計画(2023-2025) の進捗
  • 財務戦略
  • 技術・知財戦略

事業戦略の進捗 (PDF:2.3MB)

  • At a Glance
  • 各事業の戦略の方向性
  • インダストリー事業
  • 情報機器事業
  • 画像ソリューション事業
  • 顧客との価値共創事例1―産業印刷
  • 顧客との価値共創事例2―IJコンポーネント

経営基盤の強化 (PDF:2.2MB)

  • サステナビリティ戦略
  • 人財戦略
  • DX戦略

ガバナンス (PDF:1.5MB)

  • 社外取締役メッセージ
  • 取締役会議長メッセージ
  • 指名委員会委員長メッセージ
  • 取締役一覧・執行役一覧
  • スキル・マトリックス
  • コーポレートガバナンス
  • リスクマネジメント

データセクション (PDF:1.2MB)

  • 11年間の主要財務データ
  • 会社概要・株式情報・ 外部評価