ニュースリリース

コニカミノルタとエモテック・ラボ
認知機能低下の早期発見で技術提携
「話し方・会話内容・感情推移」「歩行」をAIで分析

2023年2月22日

株式会社エモテック・ラボ
コニカミノルタ株式会社

株式会社エモテック・ラボ(本社:東京都渋谷区、代表取締役:山本 洋平、以下 エモテック・ラボ)とコニカミノルタ株式会社(本社:東京都千代田区、社長:大幸 利充、以下 コニカミノルタ)は、認知症の評価に利活用することを目的とし、エモテック・ラボの感情AI評価ソフトウェア「感情認識AI[Kansei Driven Engine【KDE】]」とコニカミノルタの「HitomeQ(ひとめく) ケアサポート」で技術提携いたします。これにより、認知症高齢者が社会の中で共生していくための環境づくりに貢献していきます。

【背景と狙い】

日本では超高齢化社会を迎え、内閣府の「高齢社会白書」によると、2025年には認知症高齢者が730万人を超えると推計されています。認知症高齢者に対して適切なケアを行うことは難しく、介護従事者や家庭でケアする家族の心身の負担は増大しています。また、認知症高齢者本人の社会との共生が難しくなることによるQOL(Quality of Life:生活の質)の低下、社会保障費の拡大など、喫緊の課題が山積しています。
認知症には様々なタイプがあり、その病型や進行度を家族や介護従事者が正しく理解して対処することは、ケアする際の負担を軽減できるとともに、患者本人が社会の中でその人らしく生きる共生のための第一歩としても非常に重要といえます。そのためには、治療可能な認知症かどうかを事前に正しく判定し、病型の分類や進行具合を正確に把握することが必要となります。
この度の技術提携では、高齢者の歩行と会話に着目し、両社が保有するAIやデータを利用して認知機能の低下を検知する新たな予測AIアルゴリズムの創発を目指します。これにより、認知症の早期発見・早期治療に寄与するとともに、患者をケアする介護従事者や家族の負担軽減や、認知症高齢者が社会と共生していける環境づくりといった日本の超高齢社会における課題解決に貢献します。

【技術提携の内容】

認知症の精密な診断には、神経心理検査(認知機能などの評価)、MRI画像検査(脳の萎縮などの評価)といった検査が必要ですが、両社はそのスクリーニングとして、「話し方・会話内容・感情推移」「歩行」の分析による「次世代認知機能低下検知ソリューション」の創発を目指します。
「話し方・会話内容・感情推移」については、「HitomeQ ケアサポート」によって取得した介護施設利用者の音声データを感情認識AI「Kansei Driven Engine【KDE】」で分析し、「歩行」については、「HitomeQ ケアサポート」が介護施設利用者の行動データを取得すると同時に画像認識AIで分析します。これらの分析データを、認知症の各フェーズや症状ごとの評価に利活用できるよう、エモテック・ラボの行動心理学に基づく感情交流のビッグデータに照らし合わせて、認知症早期発見や認知機能低下検知の新たな予測AIアルゴリズムを構築します。
今後両社は、高齢者やその家族、認知症予防・医療に携わる医師や介護スタッフなど全ての関係者に有益な情報を提供するソリューションを創発し、各種新サービスの展開や、認知症領域でのプラットフォーム構築に取り組みます。さらに、日本ならではのきめ細やかな認知機能低下発見ソリューションを海外へ展開し、世界の介護現場の環境向上に貢献する事業活動を進めてまいります。

【コニカミノルタのHitomeQ ケアサポートについて】

コニカミノルタは、創業以来培ってきた画像センシング技術と、介護現場の知恵や経験を融合して「HitomeQ ケアサポート」を開発し、介護施設の業務全体のDXを支援しています。
「HitomeQ ケアサポート」は、居室の天井に備え付けた行動分析センサーで利用者の行動を解析し介護スタッフのスマートフォンに映像とともに通知、転倒事故発生時にエビデンス映像の自動記録、ケア実施後すぐにスマートフォンで簡単入力できるケア記録などの機能を備えています。これにより、介護施設の課題分析や、ICT環境の導入とオペレーションの定着を実施することで、介護スタッフのワークフローを変革し、業務を効率化させることで余裕時間を生み出します。介護スタッフは、余裕時間を充実した介護に向けることができ、利用者のQOL向上に貢献します。

さらに、今後ますます期待される科学的介護や個別ケア実現に向け、天井の行動分析センサーの映像を画像処理することで、毎日24時間、利用者の歩行速度や活動量といった行動指標を日常的かつ連続的に蓄積するとともに、ベッド周りの姿勢推移から歩行や移乗といった身体機能のアセスメントを、行動認識AI技術を活用して自動で行う機能を開発しました。ここで得られたアセスメント結果の推移から、ADL*1(Activities of Daily Living:日常生活動作)の変化や「自力でトイレに行けるようになった」、「昼間に起きている時間が増えた」というような生活空間における変化を発見できます。介護計画をこれらのエビデンスに基づいて利用者情報起点で設計し、ケア品質の向上と業務効率化の両立を実現しています。

【エモテック・ラボの感情認識AI「Kansei Driven Engine【KDE】」について】

エモテック・ラボは、「認知、感性、行動」に関する独自の行動心理学モデル(KIBI理論)を基礎とした感情認識AI「Kansei Driven Engine【KDE】」、心理的安全性診断システム「ESHA」などの製品群を有し、これら製品と感情認識AI、機械学習・深層学習に関連する幅広い知見をベースに各種ソリューションを提供するAI戦略パートナー企業です。
KDEは、あらゆる感情交流データをスコアリングし、その変化を引き起こす各種ファクターの定量化・可視化を可能にした感情認識AIです。人の表情や声のトーンなどをインプットデータとして解析し、感情指標や動きを見える化および数値化することが可能です。他社サービスでは実現できなかった「分析媒体の幅」や「感情解析精度・解析メッシュ」について、競争優位性を有しています。リアルタイム解析、エッジコンピューティング、文脈や間の解析、動画・画像・音声・テキストの連成解析といった各種先進的感情認識・感情解析にも取り組んでいます。
「KDE」主な特長(一部抜粋)

「多様な媒体での分析が可能」 「動画」「画像」「音声」「テキスト」の幅広い媒体での分析が可能
「きめ細かい感情分析が可能」 通常の感情認識AIの解析指標が5~15程度であることに対し、40感情指標で繊細な感情の動きが解析可能
「感情変化の要因分析」 従来は受け手の感情を分析することが基本であったものの、KDEは話し手の発言・行動を分析することで感情の動きの真因を追求することが可能
「感情に関する膨大なビッグデータ」 長年の実証研究および、これまでの人材開発事業によって、感情関連データを大量に保有


これからも両社は、業界を越えた様々なパートナーと共に、認知症予防・治療や介護にかかわる全ての人たちと一丸となり、QOLを高める世界を創ってまいります。


*1ADL:Activities of Daily Livingの略。最低限の日常生活が自力でどの程度おこなえるかを示すもので、寝返り、起き上がり、更衣、食事、排尿、排便、入浴、移動、階段昇降などの動作のこと。

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