COLUMN 新しい介護のカタチ Vol.01

高齢化時代の到来

我が国日本の少子高齢化問題については皆さんご存知の事ですが、いよいよ2025年には高齢化率30%の時代が到来します。

必然的に介護を必要とする人口が増える事になりますが、それを支える介護人材不足は深刻であり、同2025年には約38万人の介護人材が不足すると言われています。その為、政府はより生産的に介護業務を遂行できるよう、ICTを活用した介護を推し進め始めています。
とはいえ、まだまだ介護事業者によるICT活用は一般的に普及しておらず、有効なICTの導入が強く求められている状況です。

介護業界でのICT活用の動向と介護現場の実情

介護業界のICT活用については以前より推進されてきた事でありますが、厚生労働省が2015年に制定した「新オレンジプラン」あたりをきっかけに具体的な活用が政府により推し進められています。また、昨年4月より改定された介護保険についても、制定以来はじめてICTの活用による間接的加算が認められる等、益々介護業界におけるICT活用の流れは強いものとなっています。
自立支援と科学的介護という二大キーワードが今後の介護において重要視され、科学的介護を行う為のデータ収集が政府主導で行われ始めているところです。


一方で介護の現場はどうかというと、ICT活用の為のスタッフ教育や経営戦略に基づくICT活用の考え方の習得等、まだまだICT活用の準備自体が進んでおらず、政府の主導するそれとはかけ離れた状況にあります。とはいえ、前述の通り介護を必要な人口は増え、介護の需要は高まり、その一方で介護人材は不足する状況であるわけですから、現在現場で働く介護職員はとても貴重な人材である事は言うまでもありません。
今まさに介護事業者に求められているのは、現在現場で働く職員が如何に負担なく業務に従事する事が出来るかどうかを徹底的に考える事です。

介護現場の業務改善に向けて

では具体的に何をすれば良いかというと、先ずは現在事業所で行われている業務全般を今一度見直しする事から始めてみてはいかがでしょうか。
現場のオペレーションはルーティーンである為、なかなか見直しする機会が無いと思います。
とある事業所の例を挙げると、その事業所は「業務の分析」と「見える可」を行い、以下3つの観点で効率化対象業務を抽出し、改善を試みています。


  • 「現場職員が(時間的、ストレス的に)負担になっている業務」
  • 「そもそも介護の専門職で無くても出来るもの」
  • 「ICT等を活用する事によって省力化が出来る業務」

介護は専門職であるわけですから、この事業所の様に、介護以外の仕事は一切させないという意気込みを持って取り組んで頂くとよろしいかと思います。

 

もちろんICT化だけがその改善に繋がるものではありません。しかし、今後介護におけるICTは一定以上の役割を担う事になる事は間違いありませんし、政府もそれらを考え各施策を打っています。
繰り返しとなりますが、今現場で頑張っている職員の為に、先ずは現状分析を行い無理無駄を見付け、解決策の検討をしてみてはいかがでしょうか。


株式会社ビーブリット代表取締役竹下康平(タケシタ コウヘイ)氏

日本福祉教育専門学校非常勤講師、一社)介護離職防止対策促進機構 理事、(一社)クラウド利用促進機構 理事/IT業界。
SE、システムコンサルタント等を経て、2007年より介護業界でのIT業務に従事。
介護事業者向けITサポートサービス『ほむさぽ』を中心に、介護業界のICT利活用と普及のための相談・代行業務等を展開。
介護業界のICT活用を促進する為、各行政や団体等での講演活動や「月間老施協」「介護マスト」「介護ビジョン」「ヘルプマンジャパン」「アスキーWeb」等様々なメディアで情報発信中。