将来に向けた取り組み

現状の課題認識

近年の保安業務の課題には、熟練保全員の減少や設備の老朽化などが挙げられます。
下図<高圧ガス保安分野の事故の原因>によれば、事故の原因はハードでは「腐食管理不良」、ソフトでは「誤操作・誤判断」が突出しており、設備の老朽化や知識・経験の不足による不適切な対応が主な原因です。また、<高圧ガス設備の経年と事故件数の増加状況>より、特に高経年の事業所で事故が多くなっています。
したがって、保全へのAIやIoT技術の積極的な導入が求められています。

事故の原因と設備老朽化の現状

高圧ガス設備の老朽化(国内エチレンセンターの稼働年数)

高圧ガス保安分野の事故の原因 (平成23年~令和元年の累計)

高圧ガス設備の経年と事故件数の増加状況 (事故が増加した事業所の割合)

コニカミノルタの描く将来像

上述の社会課題に対し、当社ではこれまで培って来た光学技術と画像処理技術に加え、AIやIoT技術をプラント現場のノウハウと融合させ、より安全で安定な操業に繋げる事を目指しています。ガス監視カメラの撮影データと現場のノウハウを紐付けしながら蓄積し、いつでも活用できる様にします。
これにより、ベテランのノウハウを分かり易く可視化し、保全管理実務を担う作業員の経験を問わず、少数の作業員であっても、即時に適切な保全管理作業等を支援できると考えています。また、技術の継承にも活用可能です。
更に実際のプラントの3Dモデリングデータと照合すれば、漏えい源の位置特定精度が向上し早期対応による安全性の向上も期待できます。業界横断的にノウハウを共有する事が出来れば、プラットフォーム化も見込めます。

詳細に関しましては、ページ下部のお問い合わせフォームよりお問い合わせください。

将来像実現に向けた取り組み(NEDO採択事業)

安全で安定なプラント操業を可能とするための取組として、これまで開発してきたガス監視システムにAIを導入し、ガスの漏えい源の位置、漏えい量および流れの方向をより正確に把握するための技術開発を進めています。
本取り組みは2018年度から2022年度の5年間NEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)の委託を受けていました。
具体的には、AIによる2次元像からの3次元像復元技術(ガス雲のような非剛体に対応)を開発し、これをベースに危険源同定AIを構築しました。
主に、コニカミノルタは、実測データとシミュレーションデータを組み合わせたデータベースを構築し、3次元像復元AIモデルの開発を行いました。一方、産官学連携として神戸大学はブラックボックス化しやすいAIに対して、解析的アプローチにより誤差要因等を明らかにし、その有効性の確認も行いました。
今後は実際のプラントでの実証も通じ、様々な外乱要因にも強いシステムとして更に技術を鍛えます。

※採択事業名:「次世代人工知能・ロボットの中核となるインテグレート技術開発/人工知能技術の社会実装に向けた研究開発・実証/AI 活用によるプラント保全におけるガス漏洩の発見と特定の迅速化、並びに検出可能ガスの対象拡大」

将来像実現の為の技術開発の流れ

危険源同定AIを搭載したガス監視システム概念図