GenMineTOP(がんゲノムプロファイリングシステム)

承認番号:30400BZX00155000

製品の特徴

ロゴ:737DNA

737がん関連遺伝子の塩基置換、挿入/欠失、コピー数異常を検出
腫瘍組織検体と非腫瘍細胞(Tumor/Normal)のペア解析を実施

737がん関連遺伝子の塩基置換、挿入/欠失、コピー数異常を検出

DNA解析では、がんの診断や治療に関連する737遺伝子を解析対象にし、塩基置換、挿入/欠失及びコピー数異常を次世代シーケンサーを用いた解析により検出します。737遺伝子の解析はがんゲノムプロファイリング検査としては、解析遺伝子数が最大規模の検査になります。多数の遺伝子を解析することは、個々のがんの特性を知るための情報をより多く得られる可能性があり、がん治療の選択肢を拡大することが期待されます。さらに、免疫チェックポイント阻害剤の効果予測因子として用いられるTMB(Tumor Mutational Burden:腫瘍遺伝子変異量)の解析においても、多数の遺伝子を調べることでより正確な測定につながると考えられます1,2

腫瘍組織検体と非腫瘍細胞(Tumor/Normal)のペア解析を実施

腫瘍組織検体のみの遺伝子変異解析では、検出された変異が体細胞由来か生殖細胞系列由来か区別できない場合があります。GenMineTOPでは腫瘍組織由来の塩基配列と非腫瘍細胞由来の塩基配列とのペア解析を行うことで、検出された変異がどちらに由来するかを区別します。生殖細胞系列に由来するとされた変異が、遺伝性腫瘍の原因遺伝子(報告対象の40遺伝子3,4)として臨床的意義が明らかな場合は、生殖細胞系列バリアント(二次的所見)として報告されます。

臨床的なメリット

肺がんにおけるEGFR 変異5、大腸がんにおけるBRAF 変異6、乳がんにおけるERBB2 コピー数異常7等、がんの原因となるドライバー遺伝子を特定することは、治療に直結する情報として期待されています。また、T/Nペア検体を同時に解析することで、BRCA1TP53 等の遺伝子変異が体細胞由来か生殖細胞系列由来かの区別に役立てることができます。GenMineTOPは、より多くの遺伝子を解析すると同時に、非腫瘍細胞とのペア解析を通じてゲノムコピー数異常も把握し、個々のがんの特性を多面的に把握することを可能にします。

ロゴ:455RNA

融合遺伝子、エクソンスキッピング、遺伝子発現量解析

融合遺伝子

染色体の転座、欠失、逆位等の組換えの結果、複数の遺伝子が連結されて生じる新たな遺伝子を融合遺伝子と呼びます。融合遺伝子により作られる融合タンパク質が細胞増殖シグナルの活性化あるいは分化シグナルの抑制を引き起こし、がん化の原因となることがあります。固形がん患者に対して、がん化の原因となる融合遺伝子に対応し、いくつかの阻害薬において有効性が示されています。融合遺伝子の存在は、治療方針を検討するエキスパートパネルでの有用な情報となります。GenMineTOPはRNAとして発現している融合遺伝子を検出するため、DNAの融合点に依存せず検出します。

エクソンスキッピング

エクソンスキッピングとはRNAスプライシングの一つで、mRNAが生成される際に一部のエクソンが読み飛ばされることです。GenMineTOP では、RNAを用いてBRAF, CTNNB1, EGFR,ERBB2, METのエクソンスキッピングを検出し、診断及び治療方針決定の補助として用いることができます。例えば肺がんの場合、MET 遺伝子のエクソン14のスキッピングは、METタンパク質の分解抑制による活性化をもたらし、がん細胞の増殖に寄与することが知られており8,9、また、CTNNB1,EGFRのエクソンスキッピングでは、肝がんや脳腫瘍等の発がんに寄与することが知られています10,11

遺伝子発現量解析

GenMineTOPでは、RNAを解析し、特に発がんの原因として重要な27遺伝子の発現量はTPM(Transcripts per Million:100万マッピングフラグメント当たりのフラグメント数)で表示します。がん関連遺伝子の発現量の増加は治療方針の検討に役立つ可能性があり、DNAパネルで遺伝子のコピー数増幅が検出された際に、その遺伝子の発現増加を確認することができます。また、がん関連遺伝子や免疫関連遺伝子の発現量の測定12は、がんの悪性度評価を通じて患者さんの予後予測につながることが期待されると同時に、特定の遺伝子発現を測定することで、エキスパートパネルでの治療方針検討に役立つ可能性があります。

臨床的なメリット

RNA解析では、融合遺伝子やエクソンスキッピング等DNA解析だけでは難しい遺伝子変異を高精度に解析することができます。例えばエクソンスキッピングにおいて、その原因となる変異がイントロン領域の変異であった場合、DNA解析では検出することが難しいだけでなく、その変異の結果として生じる転写体は検出できません。一方、RNA解析では変異DNAの結果として生じた転写体を直接検出することが可能です。また、GenMineTOPは、融合遺伝子に特異的なプローブを独自の手法で設計し、感度・特異度ともに高精度に検出することができます。さらに、臨床的な観点からは、例えば肉腫、肝がん、脳腫瘍においては、その診断に寄与する可能性があります。また、発現量解析においては、ERBB2PD-L1等、臨床有用性が確認されている遺伝子の発現量を、コピー数異常の結果の補助、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬の効果予測等に活用されることが期待されています。

分析性能:最小検出感度

GenMineTOPの最小検出感度の評価は市販品の標準検体を用いて行いました。DNA解析では、塩基置換、挿入/欠失の遺伝子変異率及び遺伝子のコピー数が規定された検体を解析し、95%以上で陽性判定された最小の遺伝子変異率、コピー数を最小検出感度としています。RNA解析では、既知の融合遺伝子・エクソンスキッピングがあるサンプルを正常検体で希釈することで疑似的な腫瘍率を定め、95%以上で陽性判定された最小の腫瘍率を最小検出感度としています。なお、臨床検体での融合遺伝子・エクソンスキッピングの最小検出感度は、腫瘍率だけではなく遺伝子の発現量にも大きく依存することにご注意ください。

塩基置換、挿入/欠失

遺伝子変異及び各遺伝子変異に対する遺伝子変異率が既に販売メーカーにて保証されている標準検体を使用、一般的な領域にある遺伝子変異に加え、遺伝子解析に影響のあるGC含量が高い領域や低い領域、リピート配列が隣接領域にもつ代表的な塩基置換や挿入/欠失について最小検出感度を評価しました。繰り返し測定の結果から、各遺伝子変異に対して、95%以上の確率で検出された最小遺伝子変異率は下表のとおりでした。

コピー数異常

MET 遺伝子のコピー数増幅が導入され、かつ、そのコピー数が販売メーカーで保証されている標準検体を使用、右記の遺伝子を代表的なコピー数異常として評価しました。繰り返し測定の結果から、95%以上の確率で検出された最小コピー数は右表のとおりでした。

融合遺伝子

ALK 融合遺伝子、RET 融合遺伝子、ROS1融合遺伝子が導入されている標準検体(陽性検体)及びそれらの融合遺伝子が導入されていない標準検体(陰性検体)を使用し、陽性検体を陰性検体と混合することで陽性検体の割合を段階的に下げた複数のサンプルを調製しました。右記の融合遺伝子を代表的な融合遺伝子として評価しました。調製サンプル、陽性検体、陰性検体を使用した繰り返し測定の結果から、各融合遺伝子に対して、95%以上の確率で検出された最小腫瘍率は右表のとおりでした。

分析性能:真度

GenMineTOPと既に遺伝子変異検出が確認されている方法(対照法)の陽性・陰性判定の一致率または測定値の相関についての評価結果を示します。

塩基置換、挿入/欠失、融合遺伝子、コピー数異常

臨床検体を用いて、GenMineTOPと既承認品(コンパニオン診断薬)との陽性・陰性判定結果を得ました。2つの手法間における判定の一致率は右表のとおりでした。

TMB(Tumor Mutational Burden:腫瘍遺伝子変異量)

臨床検体を用いて、GenMineTOPと治験等で良く用いられているWhole Exome Sequencing法(WES法)を対照法としてTMBスコアを算出しました。2つの手法における相関係数はr=0.99でした。

遺伝子発現量

市販の標準検体を用いて、報告対象遺伝子である27遺伝子のGenMineTOPによる遺伝子発現量(TPM)と対照法(定量PCR法) によるΔCt値を得ました。2つの手法における測定結果及び測定結果間の相関係数rは右図のとおりでした。

相関図:GenMineTOPによる発現量(TPM)と対照法(定量PCR法) の2つの手法における測定結果及び測定結果間の相関係数rは-0.94でした
1Fancello L et al.Tumor mutational burden quantification from targeted gene panels: major advancements and challenges.
J Immunother Cancer 2019; 7:183 doi: 10.1186/s40425-019-0647-4
2Vega DM et al. Aligning tumor mutational burden (TMB) quantification across diagnostic platforms. Ann Oncol 2021; 32:1626-1636
doi: 10.1016/j.annonc.2021.09.016
3Tadaka et al. jMorp updates in 2020: large enhancement of multi-omics data resources on the general Japanese population.
Nucleic Acids Research 2020 Nov; gkaa1034 doi: 10.1093/nar/gkaa1034
4Tadaka et al. 3.5KJPNv2, An allele frequency panel of 3,552 Japanese Individuals including X chromosome.
Human Genome Variation 2019 Jun; 6:28 doi: 10.1038/s41439-019-0059-5
5Soria JC et al. Osimertinib in Untreated EGFR -Mutated Advanced Non-Small-Cell Lung Cancer. N Engl J Med 2018; 378:113-125
doi: 10.1056/NEJMoa1713137
6Kopetz S et al. Encorafenib, Binimetinib, and Cetuximab in BRAF V600E-Mutated Colorectal Cancer. N Engl J Med 2019;
381:1632-1643 doi: 10.1056/NEJMoa1908075
7Shitara K et al. Trastuzumab Deruxtecan in Previously Treated HER2-Positive Gastric Cancer. N Engl J Med 2020; 382:2419-2430
doi: 10.1056/NEJMoa2004413
8Paik PK et al. Tepotinib in Non–Small-Cell Lung Cancer with MET Exon 14 Skipping Mutations. N Engl J Med 2020; 383:931-943
doi: 10.1056/NEJMoa2004407
9Wolf J et al. Capmatinib in MET Exon 14–Mutated or MET-Amplified Non–Small-Cell Lung Cancer. N Engl J Med 2020;
383:944-957 doi: 10.1056/NEJMoa2002787
10Miyoshi Y et al. Activation of the beta-catenin gene in primary hepatocellular carcinomas by somatic alterations involving
exon 3. Cancer Res 1998; 58:2524-2527
11An Z et al. Epidermal growth factor receptor and EGFRvIII in glioblastoma: signaling pathways and targeted therapies.
Oncogene 2018; 37:1561-1575 doi: 10.1038/s41388-017-0045-7
12Gentles AJ et al. The prognostic landscape of genes and infiltrating immune cells across human cancers. Nat Med
2015; 21:938-945 doi: 10.1038/nm.3909
13Kohsaka S et al. Comprehensive assay for the molecular profiling of cancer by target enrichment from formalin-fixed
paraffin-embedded specimens. Cancer Sci 2019; 110:1464–1479 doi: 10.1111/cas.13968

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