デザイナーズインタビュー

顧客のワークスタイルをシンプルにする

池田 祐介

UX/UIデザインの統括を担当

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飯田 綾音

UX/UIデザインなどを担当

「モノをつくるときは、コトを考えろ」

池田:大学にいたのは1990年代前半です。工業デザイン分野の先生に「モノをつくるときは、コトを考えろ」とよく言われました。まだ「ユーザーエクスペリエンス(UX)」という言葉は使われなかった時代でしたが、ユーザーが新たな体験を得るようなコンテクストをつくるといった作業は、当時から授業などでしていましたね。
「自分がデザインした製品が実際に使われるような仕事をしたい」と思っていました。メーカーに就職するのがもっとも近道になると考え、当時のミノルタに入社しました。

写真:池田祐介

「どんな体験を得られるか」から考えるデザイン

飯田:私は大学では、情報をわかりやすく伝えることを追究しました。社会人になって複数のメーカーでデザイナーの経験を重ね、商品やサービスのコンセプト立案や実際に顧客に提案していく仕事を担うようになりました。そのため、「利用者が達成したい目的はなにか」「どんな体験を得られるか」を追求しつづけることを常に意識しています。このUXの視点を大切に、四苦八苦しながら取り組んでいます。性格的に、商品を企画するところから市場の反応を見るところまで、すべてに携わりたくて(笑)。コニカミノルタなら一気通貫でトライできるだろうと、入社を決めました。

写真:飯田綾音

「効率よく仕事ができる」という体験を提供する

池田:「bizhub-i」という複合機の新シリーズのUXデザインを担当しています。UXデザインの観点では、まず「シンプルであること」を追求しました。複合機の操作方法がシンプルであれば、それだけユーザーに「手早く操作ができて、効率よく作業できるようになった」といった体験を提供することができます。さらに、「新たなことを覚えなければならない」というユーザーにとっての負担を減らすこともできます。

飯田:既存の複合機シリーズでは、使える機能があれもこれもと“積み増し”状態でした。ハイスペックだけれど、かえって使いづらくなっているのではないかと。そこで「使われていない=要らない」と考え、bizhub-iではムダを省いていきました。また、スマートフォンのシンプルな操作性に多くの方が慣れていることから、同様の操作ルールを採用し、複合機独自の使い勝手ではなく、だれもが自然に使える操作フローをデザインしました。

デザインにこだわることと、製品として使われること

池田:「製品を世に出し使ってもらいたい」という思いは、いまももちつづけています。デザインにこだわることは重要。一方で、製品にならないと意味がない。この二つの着地点をずっと探しています。bizhub-iの場合は、「シンプルなワークスタイルを実現できました」と心から言えるようになれたことが着地点でした。
デザイナーたちを統括する立場としては、それぞれのデザイナーが考えるデザインが、きちんと具現化されていくことが理想です。そのための仕事環境をつくっていければと思っています。

写真:モックアップ

価値がユーザーの喜びになるまでが自分の役割

飯田: bizhub-iシリーズは、グローバルに使われるマスプロダクトです。けれども、国・地域によって使用環境はさまざま。ユーザーの数だけUXがあります。そこで、海外の販売会社スタッフたちに、どんなニーズがあるかと積極的に聴いて、カスタマイズ性の向上に活かすといった仕事もしてきました。
UXを意識してデザインする以上、「製品ができたから、自分の仕事は終わり」で済むはずないと思っています。デザインでつくりだした価値を、お客さまに届けるところまでしなければなりません。その点、デザイナーという職業の境界は薄れてきている気がします。私はこの変化をポジティブに捉えています。

写真:モニターを挟んでのミーティング風景

OFF TIME「街」で過ごす。考えるために。話すために。

写真:池田のオフの日の様子

池田:会社から自宅までの帰り道などに「ただひたすら街を歩くこと」は、考えをまとめたいときの最高の時間になっています。電車に乗っているときとちがって、考える作業くらいしかできない点が、ちょうどいいんだと思います。休日は、「オフがなければオンがない」と考え、仕事のことを引きずらないようにしています。

写真:飯田のオフの日の様子

飯田:「気づき」のためにアンテナを立てておくという点では、オンもオフも関係ありませんね。でも、ただ単に「やらなければならない」といったことからは離れます。休日などには、雰囲気の良いカフェやホテルラウンジなど、日常から避難できる場所で友人や先輩とお話ししたりして過ごしています。

Designer's Profile

写真:池田祐介のプロフィール写真

Yusuke Ikeda

筑波大学芸術専門学群生産デザインコース卒業
1997年に新卒採用で入社

入社後、一貫して複合機などのオフィス向け情報機器のデザインに従事。現在は、この領域においてデザイナーたちを統括する役割を担う。

写真:飯田綾音のプロフィール写真

Ayane Iida

武蔵野美術大学造形学部デザイン情報学科卒業
2017年にキャリア採用入社

入社後、オフィス領域のUX・UIデザインを手がける。デザインの観点からの戦略構築や、新規事業サービスの検討などもおこなう。