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STORIES - #06

医療機器の「当たり前」を
変えるデザイン

Digital Media Group Webガバナンスチーム

INTRODUCTION

医療機器に求められる役割とは
その問いから始まった開発

次世代の超音波診断装置シリーズとして誕生した、SONIMAGE UX1 / UX1 TRiFOR / SONOVISTA LX。
私たちは、「医療機器に求められる役割とは何か」という問いを出発点に、本製品の開発を進めました。

近年、医療人材不足や診療の効率化といった社会的背景のなかで、患者のそばで迅速に検査・判断を行う「ポイント・オブ・ケア」の重要性が高まっています。こうしたニーズに応える医療機器のひとつが、超音波診断装置です。

体表にプローブ(※超音波を発するセンサー)を当て、体内の状態をリアルタイムに画像として可視化するこの装置は、身体的負担が少ない検査手法として、整形外科や産婦人科などをはじめとする幅広い診療現場で活用されています。こうして、多様な医療従事者が扱う機器へと、その役割を広げてきました。

このような背景の中で、既存の超音波診断装置のイメージや枠組みにとらわれず、製品の役割そのものを見つめ直していきました。
開発者とデザイナーが協働しながら開発を重ね、誕生したのがこのシリーズです。

ACTION - 01

「シルエットそのものを変える」という発想

検討を進める中でまず浮かび上がってきたのは、医療機器が置かれる空間と人との関係でした。

医療従事者にとっては日々の診療を支える道具であり、機能性はもちろん、周囲に調和することや省スペースであることも重要とされます。さらに、扱うことに前向きな気持ちを生み出すデザインであることも求められる要素です。
一方で患者にとっては、医療機器としての信頼感を備えながら、心理的負担を和らげ、安心して診療を受けられる存在であることが望まれます。

しかし、従来の超音波診断装置は、背が高く視覚的に存在感のある形状が一般的であり、診察室や検査室において一定のスペースを必要とする傾向がありました。特に限られた空間においては、動線やレイアウトに影響を与える場合があり、医療従事者や患者双方にとって、空間的な配慮が求められることもありました。

こうした課題に対して、プロジェクトメンバーが導き出した一つの方向性は、「シルエットそのものを変える」という発想でした。
空間に溶け込み、圧迫感を抑えながら、安心感と先進性を同時に両立できる。
新しいあり方を目指し、その可能性を模索していきました。

ACTION - 02

デザインを通して
現場に最適な医療機器をつくる

新しいシルエットを実現するための検討は、決して簡単なものではありませんでした。

医療機器の開発では、多くの条件を同時に満たす必要があります。制約が多い中で小型化を優先する場合、四角い箱型の形状は設計として合理的な選択肢となります。実際、初期段階では四角い形状をベースに、内部設計を絞り込む検討が行われていました。

そうした過程で、空間での見え方や佇まいに対する違和感が、チームの中で少しずつ言葉になっていきました。直線的な構成はサイズを最小化する一方、人が動く空間では圧迫感や単調さとして受け取られることもあります。

「このまま進めてよいのか。」

私たちはあえて立ち止まり、製品の「あるべき姿」に向け、見直しに踏み切りました。

医療機器として満たすべき条件を整理し、各機能の配置を組み直しながら、曲線的な造形の可能性を探る方向へと視点を切り替えました。
診察室の空間を広く見せ、患者に与える印象をやわらげ、まだどこにもないデザインを実現するために、データによる精密な検証とスケッチによる試行を行き来しながら、医師との対話を重ね、着実に方向性を磨きました。

その過程は困難を伴うものでしたが、スピードある試行錯誤を積み上げる中で、「何を変え、何を守るか」の設計判断は、確信へと変わっていきました。
理想の形に近づく手応えと感覚は、プロジェクトメンバー全員に強く印象として刻まれています。

見た目の良さだけを追求するのではなく、現場での使いやすさや空間との調和を含めて最適な医療機器を目指す。その方針のもと、形状と構成の両面から設計検討を重ねました。

ACTION - 03

医療現場に「寄り添う」製品へ

ハードウェアのかたちを検討するのと並行して、ソフトウェアやUIの設計にも同じ思想が貫かれていきました。

目指したのは、医療従事者が迷うことなく直感的に操作できること、そして現場ごとの使い方に柔軟に応えられることです。
単なるUIの構成要素に留まらず、診療に寄り添う「現場の道具としてのふるまい」を意識し、ボタンのサイズや配置、表示機能のカスタマイズ、検査画面のバランスなどを整えていきました。医療現場ごとに異なる手順や役割、忙しさの違いにも応えられるようにし、使い手が装置の操作に意識をとられることなく、患者に向き合い続けられる状態を支えています。

また、機器がいつでも頼れる状態であり続けるために、メンテナンスを担うサービススタッフにとっても扱いやすい、PCやスマートフォンのアプリケーションのようなわかりやすい操作体系を取り入れました。

医療従事者の判断を急かさず、迷いを生まず、現場全体の流れを止めない。

日々の診療を支え、寄り添う存在を目指し、この考えを設計の細部まで反映しました。

こうした体験全体を見据えた設計思想から、高精細な超音波画像を実現した「SONIMAGE UX1」、整形外科向けモデル「SONIMAGE UX1 TRiFOR」、そして産婦人科向けの「SONOVISTA LX」が誕生しました。同じ思想を異なる診療科へと展開することで、それぞれの医療現場に寄り添うシリーズとして形になっていきました。

これらの取り組みは、2025年度GOOD DESIGN AWARDや機械工業デザイン賞を受賞するなど、高い評価を得ました。
色や形にとどまらず、医療現場における体験や提供価値までを含めて設計した点が評価されたことは、開発に関わったチーム全体の取り組みが結実したものでもあります。
その中でデザインも一つの役割を担い、「デザインの完成度が医療の質に影響する」という考えを、かたちとして示すことができました。

OUR DESIGN

医療機器デザインが目指す価値

コニカミノルタの医療機器デザインは、使いやすさと信頼性に加え、設置される空間や人との関係性も大切にしています。
超音波診断装置は、臨床検査技師や医師をはじめ、幅広い医療事業者が日々の診療で使用する機器です。
そのため、単に機能を満たすだけでなく、使う人が安心して操作でき、価値を感じられる存在であることが重要だと考えています。
また、この機器のユーザーは医療従事者だけではありません。検査を受ける患者も重要な存在です。医療従事者にとっての操作性と効率、患者にとっての安心感。その両方を成立させることは容易ではありませんが、そのバランスを探り続けることこそがデザインの役割なのです。

その実現を支えたのは、開発者とデザイナーが密に連携しながら対話を続けてきた、継続的なプロセスでした。社内にデザイン機能を持つからこそ可能となる継続的な対話と相互理解が、開発における信頼関係を育み、チームとしての一体感を支えていきました。

こうしてかたちづくられてきた体験価値は、数値だけでは表現できません。しかし、診療の質や使いやすさに確実に影響する重要な要素であり、デザインが大きく貢献できる領域なのです。

OUR ACTIVITIES

技術や機能だけでは捉えきれない課題に向き合いながら、使う人の体験や現場環境を起点とした製品づくりに取り組んでいます。デザインの力で新しい価値を生み出し、社会や働く現場のあり方を少しずつ変えていくこと。それが私たちの大切にしている活動です。
これからも現場の声に耳を傾けながら、よりよい体験の可能性を探り続けていきます。

※「SONIMAGE」は、日本及びその他の国におけるコニカミノルタ株式会社の登録商標または商標です。
※「SONOVISTA」「ソノビスタ」は、日本におけるコニカミノルタ株式会社の登録商標または商標です。
※「SONIMAGE UX1」「SONIMAGE UX1 TRiFOR」「SONOVISTA LX」は、超音波診断装置KUS330の呼称です。

STORIES

デザインセンターの活動紹介