技術紹介
「プラネタリウムの
技術」
コニカミノルタが長い年月をかけて磨いてきた、光を投映して星空を描くプラネタリウム(光学式プラネタリウム)、そしてドームの壁面自体を発光させるLEDドームシステムの技術の秘密とは?
プラネタリウムの技術ってどんなもの?
プラネタリウムは、単に投映機で星を映し出すだけではありません。映像、光、音、そして空間そのものをどうデザインするか——。それらがひとつに溶け合うことで、はじめて"体験"として完成します。
精密な映像に目を向けがちですが、実際には音の響き方、光の広がり、座席の角度や天井の形状までが連動し、来場者が没入できる空間をつくり上げています。
プラネタリウムの技術とは、星空を「見せる」ための技術ではなく、星空を「感じてもらう」ための総合的な演出技術なのです。
子供たちを創造と探求の世界へ導きたいという願いを込めて開発された「Cosmo Leap Σ」
光学式プラネタリウム
-コニカミノルタ製の投映機は国内シェア50%以上
ここからは、2018年度に「グッドデザイン金賞」を受賞した「Cosmo Leap Σ(コスモリープシグマ)」を例に、どのような技術が美しくリアルな星空を支えているのかご紹介します。
「Cosmo Leap Σ」には映像や光、音、そしてメンテナンス性に至るまで、コニカミノルタが長年磨いてきたコア技術が詰まっています。
POINT
01
漆黒の空に、シャープな星々を映し出す
星を見上げたとき、一つひとつの星がにじまず、くっきりと見えること。そして、満天の星の奥に、淡く広がる天の川の奥行きまで感じられること。その自然で美しい見え方が、コニカミノルタの光学式プラネタリウム「InfiniumΣ」の大きな特長です。最新の光学技術によって、漆黒の空に輝くシャープな星々と、豊かな階調を持つ天の川を繊細に表現。さらに、機械音を抑えた静かな空間設計により、星空に包まれるような没入感を高めています。
POINT
02
星や惑星の動きまで感じられる表現力
このプラネタリウムでは、星空が"静止画"のように見えることはありません。星や惑星がゆっくり動いて見えるのは、星を映す球体と惑星の装置が、なめらかに角度を変えられるしくみになっているからです。内部の可動パーツが細かく動くことで、星の位置が時間とともに自然に変わっていきます。また、金星や火星など5つの惑星は専用の光でより明るく映せるため、夕方の空でキラッと輝く感じまで再現できます。こうしたやさしい動きと明るさの違いを丁寧に表現することで、本物の夜空のような"生きた動き"が感じられます。
POINT
03
豊富な星座・天体情報の内蔵と表現の柔軟性
星座の線や星座絵、夜空の目印など、星空を理解するためのさまざまなガイドを備えています。全部で80種類におよぶガイドに加え、星雲や星団、系外銀河など48の天体も表現できるため、解説やプログラムの幅が大きく広がります。
POINT
04
コンパクト設計・省エネ性と運用性の高さ
高さは約2.5m、設置に必要な広さはわずか1㎡と、惑星投映機一体型では世界最小クラス。コンパクトな設計でありながら、本格的な星空体験を楽しめます。消費電力は従来の約半分。LED光源を使っているためランプ交換も不要で、静かで快適な空間が保たれます。
ドーム自体が発光して
美しい星空を映し出す
- 体験の可能性を広げた、全く新しいプラネタリウム
先ほどご紹介したCosmo Leap Σは、光学技術を使って星空を映し出すプラネタリウムです。
一方で、現在の最先端のプラネタリウムとして注目されているのが、コニカミノルタが独自に開発したLEDドームシステムです。これは、ドーム全体をLEDパネルで覆い、映像を直接表示することで、よりリアルで臨場感のある宇宙空間を表現できる仕組みです。
POINT
01
ドーム自体が発光するってどういうこと?
LEDパネルは、平面やゆるやかな曲面には対応しやすい一方、ドームのような複雑な3D曲面をつくることは、従来は簡単ではありませんでした。
コニカミノルタは、3D曲面を形成できる新しいLEDパネルを開発。パネルを立体的に組み合わせることで、ドームそのものが発光する大画面ディスプレイを実現しています。
プロジェクターで映像を投影する従来方式とは異なり、曲面全体がディスプレイになるため、天井から壁までを使った、視界を包み込むような映像表現が可能です。建物の形状や用途に合わせて設計しやすく、隙間や継ぎ目の少ない360度の空間演出にも対応できます。
これにより、よりリアルで鮮明な、没入感のある映像空間を生み出します。
DYNAVISION-LEDを構成する最小単位のパネルを曲げている様子
POINT
02
自発光LED×高輝度・広色域で、目を見張る映像美
このLEDドームシステムは、従来の投映方式では表現できなかった「抜けるような青空」「深海の奥行き」「真っ赤な夕焼け」「輝く星々」を、美しく豊かな色で再現します。自発光型のLEDを使うことで、にじみの少ない鮮明な映像と、立体的な奥行きを感じられる映像体験が可能になっています。
POINT
03
映像と音響が一体化した設計が生む没入感
さらに、映像だけでなく音響にも技術的なこだわりポイントが。LEDパネルの背後には無数のサウンドホール(音を通すための小さな孔)が設けられ、スピーカーはその背面に配置され、映像と音が"同じ面"から出る仕組みに。これにより、壁・天井に表示される映像と音がずれず、ひとつの世界に没入していく体験が実現されます。
LEDパネルに無数に開けられているサウンドホール
未来へ広がる可能性
感動を届ける使命は、ずっと変わらない
コニカミノルタのLEDドームシステム「DYNAVISION-LED」は、大阪・関西万博2025のJAXA常設展示に採用され、月面をリアルに体感できる空間として大きな話題を呼びました。会期184日間で約32万人が来場し、55平米の限られたスペースながら常に満員に近い状態が続き、何度も訪れるリピーターも現れるほどの人気でした。
万博終了後、この展示はJAXA筑波宇宙センターの展示館「スペースドーム」の入り口近くに移設され、2025年11月から一般公開されています。
DYNAVISION-LEDは、縦3m×横10mの湾曲ディスプレイと0.9mmの高精細ピクセルピッチを備え、カーブに最適化されたフルCG映像により、まるで月面に立ち地球を見上げているかのような強い没入感を生み出します。至近距離でも遠くからでも、その臨場感を味わえます。
万博では「本当に感動した」という声が多く寄せられていましたが、現在の筑波宇宙センターでも、子どもから大人、海外の来訪者まで、多くの人が足を止めて見入る姿が見られます。
万博で体験できなかった方や、再び感動を味わいたい方は、ぜひ筑波宇宙センターでこの月面体験をご覧ください。
縦3m×横10mの高精細大型湾曲LEDディスプレイ。0.9mmの超微細ピクセルピッチが、圧倒的な映像美を生み出し、間近で見ても遠く離れた場所から眺めても、驚きと没入感を体験できる
吉戸氏(右:国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 広報部)
「大阪・関西万博2025のJAXA常設展示に導入するにあたって、直径8.5mの円柱状展示スペースを有効活用するために、画面をカーブさせる必要がありましたが、DYNAVISION-LEDの技術で実現できました。」
桑原氏(左:コニカミノルタ プラネタリウム株式会社 管理部)
「限られたスペースで最大の没入感を生み出すための曲面設計でしたが、実際に映像が映し出された瞬間、本当に月面に立っているかのような感覚になりました。LEDならではの漆黒の描写が宇宙の明暗のコントラストを際立たせ、日常と宇宙が地続きになるような空間を構築できたと実感しています。」
積み重ねてきた技術で、
人の心を動かす体験をつくっていく
効率やスピードが当たり前になった日常の中で、ふと立ち止まり、自分の感覚に耳を澄ませる時間は、少しずつ減っているのかもしれません。
どんなに忙しく、あるいはつらい時であっても、ふと見上げれば星々が変わらず輝いている——そんな美しい世界に、私たちは生きています。
創業者の想いを原点に、コニカミノルタのプラネタリウムは、「星空を通じて、人々に感動と好奇心を届けたい」という願いを大切にしてきました。これからも技術を磨き、人の心を動かす時間と体験づくりを追求していきます。