イノベーションストーリーズ

ヘルスケア

原点は医療に貢献したいという熱い想い
医療現場との価値共創を続けてきた
画像診断の歩み

目次

1895年にドイツの科学者によって発見されたX線。体の内部を映し出すことができると報じられたことで、そのニュースは瞬く間に世界中に広がりました。このX線による診断の可能性にいち早く着目したところから、当社のヘルスケア事業は幕を開けたのです。

以来、当社は主に画像診断の領域で事業を拡大してきました。ずっと目指してきたのは、一人でも多くの人に高度な医療診断を提供すること、患者さんの負担を軽減すること、そして医療現場のワークフローの改善でした。100年以上にわたる当社のヘルスケア事業は、その熱意を受け継ぎ、医療従事者の方々と共創を続けることで発展してきたのです。

さくらレントゲンフィルム 動態撮影画面

病をいち早く見つけることで
医療に貢献したい

今から90年前の1933年、コニカは自社開発・生産による医用X線フィルム「さくらレントゲンフィルム」を発売しました。第二次世界大戦の足音が忍び寄ってきている時代です。そんな時期になぜ、X線フィルムの自社生産に踏み切ったのでしょうか。
実は、「さくらレントゲンフィルム」発売から遡ること37年前の1896年、当社の先達は日本にX線機器を輸入して、医師たちと様々な研究を行っていました。ドイツの物理学者レントゲンがX線を発見したのは1895年。その翌年のことですから、先見性と行動力があったことは間違いないでしょう。

X線フィルムにかける当社の熱意の根底にあったのは、「病をいち早く見つけることで医療に貢献したい」という強い思いでした。日本では、江戸時代末期からその当時、昭和初期にかけて結核が猛威を振るい、「国民病」などと呼ばれて恐れられていました。高価な外国製のX線フィルムではなく国産のフィルムがもっと普及すれば、救える命がある。そう考えて研究を続け、ついに医師やX線技師たちも性能を認める「さくらレントゲンフィルム」が誕生したのです。

さくらレントゲンフィルム広告

その後、病院や診療所でのX線撮影が普及するにつれてX線フィルムの使用量も増え、1960年代にはフィルムの自動現像機が使用され始めます。コニカは1963年に8分で現像できる製品を発売、その後3分30秒、さらに90秒へと現像時間を短縮していきました。そして1988年には、世界最速の45秒処理を実現した高速自動現像機「コニカ メディカル スーパーラピッドシステム」を発売。一秒を争う緊急医療現場のワークフローを大きく改善したと高い評価を得ました。

スーパーラピッドシステム

デジタルシフトの大潮流を
医療従事者との共創で乗り切る

長い歴史を歩んできた当社のヘルスケア事業において、最大のターニングポイントとなったのが、X線画像診断の脱フィルム化です。

1980年代、オフィスへのコンピューター導入が急速に進むなか、X線画像診断はデジタル化から取り残されていました。X線撮影情報をデジタルに変換してモニターで表示する診断システムはすでに登場していましたが、フィルム方式で実現している画質には及ばないと言われていたのです。しかし、デジタル画像は伝送が可能なこと、画像処理が容易であることなどのメリットも多く、画像診断がデジタル化に向かう流れは止まりませんでした。

シャーカステンでの読影イメージ

日本で一気にデジタル化が進んだきっかけは、2008年の診療報酬改定で診断画像のデジタル保存が認められたことでした。フィルムの出荷量は急激に減少し、事業規模も小さくなる中、当社はデジタル化の取り組みを続けてきました。そんな時に応援してくださったのが、お客様である医療従事者の方々だったのです。

モニターでの読影イメージ

X線撮影のデジタルシフトはメーカーだけの課題ではありませんでした。医療従事者の方々にとっても、積み重ねてきた画像診断の知見はX線フィルムでの見え方がベースだったからです。当時の担当者はこう語ります。「画像診断というのは、正常な状態の画像を理解して、それとは異なる状態、すなわち病変を見つけるものです。画像の見え方はデジタルになるとどう変わるのか。モニターの調整はどうすればいいのか。私たちは先生方と一緒に考え、一つひとつ解決法を模索してきました。」医療従事者の方々から寄せられる期待感をひしひしと感じつつ、大転換の時代を乗り切っていったのです。

そして2011年には、世界最軽量のカセッテ型デジタルX線撮影装置「AeroDR(エアロディーアール)*1」を発売、国内DR(デジタルラジオグラフィー)市場でトップクラスのシェアを獲得しました。

AeroDRイメージ

※DR(Digital Radiography):X線を蛍光体で光に変換し、その光を半導体で電気信号にすることで、撮影後すぐにX線画像をディスプレイに表示できる

その後も当社は挑戦を続け、2018年、ついに画像診断に革新をもたらす成果を上げました。一般のX線撮影機器を用いて動く画像を撮影できる、世界初のデジタルX線動画撮影システムを発売したのです。これによって、意識がなかったり、呼吸困難で息が止められない患者さんの撮影ができるようになりました。さらに当社の画像解析技術と組み合わせることで、臓器がちゃんと機能しているかを一目で見ることを可能にします。医師・研究者の方々からも「今まで見えなかったものが見えるようになる、X線診断にパラダイムシフトを起こす技術」との評価を受け、今、世界各国で導入が拡大しています。

エコー市場に参入、
現場と共に市場を育てる

X線撮影のデジタルシフトに次ぐ、ヘルスケア事業のターニングポイントとなったのは、超音波診断装置への取り組みです。

超音波診断(エコー)は人の耳には聞こえない音波を使って診断する装置です。患者さんの体への負担が少なく、リアルタイムに画像を確認できるため、幅広い診断領域への応用が可能です。当社は2014年、事業統合したパナソニックヘルスケア株式会社超音波部門と共同開発した製品「SONIMAGE HS1(ソニマージュ エイチエスワン)*2」によって、この領域に本格参入しました。

SONIMAGE HS1

当社が画期的な技術イノベーションが可能だと考えたのは、プローブ(探触子)です。患者さんの体にあてて超音波を出し、跳ね返ってくる音を受信するパーツで、装置の分解能を左右します。このプローブの開発に、当社がフィルム開発で培ってきた材料技術や、X線画像診断で蓄積された画像処理技術を投入。太さ数十~数百ミクロンの筋束や神経束の繊維構造まで鮮明に見える高画質な機器の開発に成功しました。

エコー画像

超音波診断市場で、当社は最後発、シェアゼロからのスタートでした。そこでまず、当社の強みが活かせると考えた整形外科に飛び込んで、キーオピニオンリーダーの医師の方々と共に、どこで最も役立てるのかを徹底的に追求しました。

製品開発にあたってこだわったもう一つのポイントは、使いやすさです。医師の方々に試作機を見ていただいたところ、まず返ってきたのは、「このボタンは要らない」「ここは使いづらい」という、使い勝手に関する厳しいダメ出しでした。プローブを含めた機器の性能には自信がありましたので、ボタンの位置から画面構成、操作方法まで徹底的に現場の声を聞き、製品に取り込んでいきました。

結果として、SONIMAGE HS1は整形外科領域では発売後約2年でトップシェアを獲得。その後もセミナーなどを通じて新たにエコーを診断に取り入れてくれる医師は増加し、この領域での市場開拓と共に販売台数も拡大しました。そして今や、当社の超音波診断装置は整形以外にも使用領域を拡げています。長年にわたり、医療現場と接点を持ち続けてきたからこそ、多くの医療従事者の方々から信頼を得て、率直なご意見をいただくことができ、共に市場を育てていくことができたと考えています。

エコー診察イメージ

かかりつけ医のDXを
専門医と共に支える

当社では現在、ICTで医療のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支えようとしています。それを可能にするのが、日本でクリニックを中心に導入を進めている、医療ICTプラットフォーム「infomity(インフォミティ)」によるクラウドサービスです。

サービスを開始したのは2007年。24時間365日コールセンターやクラウドの監視体制により16年間安定稼働を実現し、お客様に安心してご利用して頂いています。料金は定額制に加え、従量制のサービスも選ぶことができます。医療サービスにおけるサブスクリプションの採用は、当時としては画期的でした。当初は24時間リモートメンテナンスや画像保存のサービスから始まり、近年では、複数の医療機関で撮影画像などの診察情報を共有できる「連携BOXサービス」、専門医に読影依頼できる「遠隔読影支援サービス」、AI(人工知能)を用いた「画像解析サービス」などを提供しています。また、2023年からは患者さんのスマートフォンと医療現場をつないで、情報連携やコミュニケーションを促進する「infomity スマートクリニックサービス」を開始しました。

infomityスマートクリニックサービス

日本には今、一般診療所いわゆるクリニックが10万施設以上あり、そのうちX線画像診断を行っている施設はおよそ半数です。その4割にあたる約2万施設がinfomityと繋がっており、患者さんに身近なかかりつけ医の方々にとって、安価かつ簡便に利用でき、DXの担い手になっています。このinfomityに最新の診断支援技術などを実装していくために、当社は多くの専門医の方々と連携しながら、日々システムをブラッシュアップしています。

遠隔読影支援サービスの図

100年以上にわたり、数々のターニングポイントを乗り越えてきたコニカミノルタのヘルスケア事業。一貫しているのは、「救える命を救いたい」という想いと、医療従事者の方々との「価値の共創」に他なりません。このDNAは、今後も、医療機関のさらなるワークフローの効率化や、人びとの健康で高い生活の質の実現に貢献すると信じています。

ヘルスケアイメージ

*1「AeroDR」
販売名:デジタルラジオグラフィー AeroDR SYSTEM
製造販売認証番号: 225ABBZX00011000
*2「SONIMAGE HS1」
販売名:超音波画像診断装置 SONIMAGE HS1
製造販売認証番号:226ABBZX00051000

2003年に経営統合する以前の2社はそれぞれ社名変更を重ねてきたため、経営統合直前の両社のブランドであるコニカ、ミノルタという呼称で統一しました。

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