リスク情報

当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に重要な影響を与える可能性がある主要なリスクを以下に記載しておりますが、これらのリスクは必ずしも全てのリスクを網羅したものではなく、想定していないリスクや重要性が低いと考えられる他のリスクの影響を将来的に受ける可能性もあります。
記載事項のうち将来に関する事項は、2025年3月末現在において入手可能な情報等に基づいて、当社グループが判断したものであります。

①経済環境に関するリスク

1)経済動向・市場環境

当社グループは、複合機やデジタル印刷システム、ヘルスケア用機器製品、計測機器や光学部材、ディスプレイ材料及び関連サービス等を世界中の顧客に向けて提供しております。これらの事業の売上及び損益は各国の景気動向に大きく影響を受けます。
当期の世界経済は比較的順調に推移しましたが、今後については米国の関税政策の影響が世界的な景気悪化に発展する可能性が懸念されます。
日本経済は、一時停滞感を強めたものの、個人消費の復調やインバウンド需要の堅調な拡大により回復基調を維持し、幅広い分野でインフレ経済への回帰が見られました。物価上昇が落ち着く中、緩やかな回復基調を維持すると見込まれるものの、米国の関税政策等による不確実性が悪影響を及ぼす懸念があります。
米国経済は、金融引き締めが続く中、安定した雇用情勢と賃金上昇による個人消費を中心とした国内需要に支えられ、堅調に推移しました。しかし、米国の関税政策によりインフレ率に上昇圧力がかかり、消費者の負担が増加することによる国内需要の減速が懸念されております。
欧州(EU)経済は、雇用情勢が堅調に推移し、所得環境の改善による個人消費の回復により緩やかな回復基調で推移しました。一方、ウクライナ情勢やイスラエル・パレスチナ情勢によるエネルギー価格の高止まりや地政学リスク等により、経済見通しの不確実性は増大しております。
中国経済は、不動産市場の長期低迷、雇用や所得環境の悪化を受けた個人消費の停滞、地方行政の財政難等により景気は停滞しました。大手不動産会社の破綻リスクが高まる等、不動産市場の低迷に起因した金融不安は解消されておらず、また、米国と相互に関税引き上げ措置を行うことに伴う対米輸出入の減少が、景気回復に悪影響を及ぼすことが懸念されます。

こうしたリスクが発生し、各国の経済活動が停滞した場合、顧客の投資抑制や消費行動の変化を引き起こし、結果として当社の予想を超えた新規機器購入の減少、競争激化に伴う販売価格下落、在庫増加等、将来にわたり当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

2)為替レートの変動

当社グループは、高い海外売上高比率が示すようにグローバルに事業活動を展開しており、為替レート変動の影響を大きく受ける状況にあります。また、外貨建ての取引から生じる当社の資産及び負債の円貨額や海外子会社の外貨建財務諸表から発生する在外営業活動体の換算差額も変動するおそれがあります。ユーロにつきましては、為替レートが1円円安に変動した場合、欧州での利益増により、営業利益に約4億円のプラスの影響を与えます。人民元も同様に、1円円安に変動した場合、中国での利益増により、営業利益に約8億円のプラスの影響を与えます。一方、米ドルについては、1円円安に変動した場合、調達・製造コスト増等により、営業利益に約1億円のマイナスの影響を与えます。

②事業活動に関するリスク

1)デジタルワークプレイス事業 プリント環境の変化に関連するリスク

先進国や新興国を中心に、情報共有の媒体が紙からタブレット端末やスマートフォン等のデジタル機器に急速に移行しております。さらに、新型コロナウイルス感染症の拡大を契機に、世界中の企業においてリモートワー ク、ハイブリッドワーク及びワークフローのデジタル化が加速しております。このため、各国のオフィスにおけるプリント需要は今後も継続的に減少することが予測されます。IDC(International Data Corporation)によると、2028年の世界市場における電子写真方式による総プリントボリュームは、2019年と比べて約4割減少すると予測されております。当社グループの注力するカラープリントは2019年比で80.0%に留まる一方、モノクロプリントは46.6%まで落ち込む予測となっております。プリントボリュームの下落が永続的に続くわけではなく、ある水準で下げ止まるという見解もありますが、現時点では、中期的に想定を超えるプリント需要の減少が発生することをリスクとして捉えており、このような状況下で顧客動向に迅速に対応できない場合、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

2)各国・各地域の規制

当社グループの事業活動の多くの部分は、北米、欧州及びアジア諸国といった日本国外で行われており、その国や地域固有の法制、規制や承認手続きの影響を受けております。米国による各国に対する相互関税の賦課及び各国の対応、特に米中間での技術輸出規制等の経済措置の動向には常に十分な注意を払っておりますが、将来、各国の政府や国際的枠組による規制、例えば税制、輸出入規制、通貨規制、個人情報保護規制、デジタル関税、その他各種規則等が新規に導入される、又は変更された場合には、これらに対応するための費用が発生し、事業活動に支障をきたす可能性があります。特に、個人情報規制や生成AI規制については、巨大IT企業でのターゲティング広告への規制法案、欧州GDPR、欧州AI規制法等、各国で法制化、罰則が強化され、当社で推進している関連事業への影響が高くなります。
さらに、主要国における予期せぬ戦争状態等の発生により、それに対する各国の制裁措置が発動された場合、当社グループが予期しない法制、規制や承認手続き等の変更に直面するリスクがあります。
また、特に、当社グループの画像ソリューション事業のヘルスケアユニットでは、事業活動を行っている各国の様々な医療制度や許認可の手続きの影響を受けております。医療制度改革等によって、予測できない大規模な医療行政の方針変更が行われ、その環境変化に速やかに対応できない場合、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

3)次世代技術変化

生成AIの急速な普及や環境法規制等のグローバル規模での中長期トレンドの進行に伴い、事業環境が大きく変貌するリスクがあります。これらの変化の中で、他社に先んじた技術革新は当社グループにとって重要な競争優位の源泉ですが、競合他社が先行して類似技術や代替技術を開発し事業活用する可能性があります。また、グローバルかつ広範な視点で競争優位になり得る革新的技術を開発対象として見定め、迅速・柔軟に市場に提供できなければ、長期にわたり市場でのポジションを喪失する等、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

4)新製品への移行

当社グループが展開する事業領域では、市場投入されている競合製品・サービスのバージョンアップとの比較、または既存市場の製品やビジネスモデルを非連続的に変革し得る製品・サービスとの比較の2つの観点で、顧客が別の製品・サービスを選択する可能性があり、新製品への移行リスクが常に存在しております。前者は、個別にサービス・機能が追加された場合だけではなく、ユーザー体験自体を変容させるようなサービス・機能が市場投入され、顧客の選定基準が高度化した場合にも起こる可能性があります。後者は、破壊的技術の登場や社会的潮流に起因するビジネスモデルの変革によって引き起こされる可能性があります。

5)他社との協業、企業買収等について

当社グループは、事業競争力の強化あるいは効率化の観点から、他社との協業、資本提携・企業買収、譲渡等を進めております。
企業買収等に伴い、のれん及び無形資産を計上しており、定期的に減損テストを実施しております。事業環境の変化に伴い、買収対象会社にかかる将来キャッシュ・フローの低下が見込まれた場合等では、減損損失を認識する可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

6)調達・生産等 

当社グループの主力事業であるデジタルワークプレイス事業、プロフェッショナルプリント事業及びインダストリー事業では、コスト競争力強化と市場への迅速な製品供給のために海外及び日本での生産活動を継続しております。グローバルに生産活動を行う中で、法規制や労務政策変更、輸出入規制や税制、環境規制の変更、紛争等の地政学リスク等、予測困難な事態が発生する可能性が高まっております。特に米国は、相互関税等の関税政策により、コスト悪化につながるリスクが顕在化しております。また、欧州情勢や中東情勢等の影響も含め、部品・原材料価格や原油価格・エネルギー価格の急激な変動や物流障害が発生するリスクも増大しております。これらの要因により生産コストが上昇する場合、当社グループの経営成績及び成長戦略に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、特定の製品・部品や材料、エネルギー等を世界中のサプライヤーから調達しておりますが、サプライヤーにおける不測の事態や自然災害、さらには労働争議や地政学リスク等により供給が途絶・遅延した場合には、生産及び供給能力に大きな影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの生産活動において使用する鉄やアルミニウム等の金属製品、原油を原料とする石油化学製品、レアアース等の希少天然資源等の原材料価格、及びエネルギー価格の高騰は当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

7)グローバルサプライチェーン

当社グループの生産、販売活動の多くは日本国外で行われており、サプライチェーンもグローバルに展開しております。各国・各地域の物流上の問題が当社グループのグローバルサプライチェーン全体に波及し、供給遅延により当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは中国・ASEANにおける生産が多く、その拠点からグローバルに供給を行っております。中国・ASEAN各国で新たな感染症のパンデミック等による活動制限が発生した場合、港湾・空港での荷役作業の停滞・混雑により物流が滞り、販売拠点への供給に大きなリスクを及ぼす可能性があります。

また、製品の輸出先である欧米主要国では、主要各港での港湾労使交渉の長期化・決裂によるストライキの発生や、スエズ運河航行制限(喜望峰ルートへの迂回)の影響による供給リードタイム延伸とコンテナ輸送費上昇の長期化、及び米国の関税政策、中国建造船への入港料課徴施策によるコンテナ船の船腹供給と輸送需要のバランス悪化・輸送費上昇等により、販売拠点における在庫不足の発生によって顧客への納品遅延による売上機会損失等、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
日本国内においては、2024年の働き方改革関連法の施行に伴うドライバー不足の深刻化により、供給リードタイムの延伸や物流コストの上昇リスクが顕在化し、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

8)製造物・品質責任

当社グループは、国内外のグループ会社や生産委託先において厳格な品質保証体制を構築し、顧客に対して高い性能と信頼性を備えた製品及びサービスを提供しております。万が一、当社グループの製品あるいはサービスに欠陥が発生した場合、その欠陥に起因した損害に対して当社グループは賠償責任を負う可能性があり、また、その欠陥に対して多大な対策費用が発生する可能性があります。さらに、当該問題により、企業ブランドや製品ブランドが毀損され経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

③その他のリスク

1)人権

当社グループはグローバルに事業を展開している一方で、東南アジアに多くの部品・材料の取引先があり、サプライチェーン全体での人権が十分尊重されず、児童労働や強制労働等の人権に関する負の影響が発生する可能性があります。その場合、ブランドイメージの毀損等の社会的批判を受け、投資家からの信頼喪失による株価の下落、顧客からの要求に適合できないことによる販売機会の喪失等、経営成績への悪影響を及ぼす可能性があります。
また、国連人権理事会における「ビジネスと人権に関する指導原則(UNGPs)」の採択に基づき、各国で人権尊重に関する法整備が進んでおります。例えば、米国のウイグル強制労働防止法、ドイツのサプライチェーンにおける企業のデュー・デリジェンス義務に関する法律に加えて、2024年はEUにおいて企業持続性デュー・デリジェンス指令(CSDDD)や強制労働製品禁止規則の施行が決まる等、各国における法規制の強化が加速しております。これらに適合できない場合、輸入禁止や高額な罰金の対象になるおそれがあります。

2)大地震・自然災害・感染症等

当社グループは、研究開発・調達・生産・販売等の拠点を世界各国に置き、グローバルに事業活動を展開しております。地震・火災・気候変動に伴う大規模な台風・洪水・森林火災等の災害、大規模な感染症の発生、また戦争・テロ行為・サイバー攻撃等が起こった場合、当社グループの設備等が被害を受け、一時的に操業が停止し生産及び出荷の遅れにより、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
特に、首都直下、南海トラフ等における巨大地震の発生においては、想定を超えた規模で被害が発生する可能性があり得ると考えられます。
当社グループは、防災対策や事業継続マネジメントを今後も継続して推進してまいりますが、このような事態が発生した場合、機能停止、設備の損壊、電力・水・ガス等の供給停止、公共交通機関や通信手段の停止、サプライチェーンへの被害等による顧客へのサービスの提供や製品出荷の停止等、当社グループの事業活動の継続に影響を及ぼす可能性があります。

3)気候変動・環境規制

世界全体が低炭素社会へ移行した場合、環境関連の法規制が厳格化するおそれがあり、追加的義務及び費用が発生する可能性があります。ステークホルダーからの再生可能エネルギー調達及び温室効果ガス排出ネットゼロの要求が高まることにより、投融資を受ける機会及び販売機会の逸失、企業ブランドの低下につながる可能性があります。また、オフィスにおける紙への出力の減少、化石燃料や化石資源の代替化による製造・調達コストの増加等も当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
一方、世界各地で気候変動による物理的影響が顕在化した場合、森林火災の頻発化や水ストレスの高い地域での大規模な干ばつ発生により、セルロース原材料の調達が不安定になり事業機会の損失につながる可能性があります。また、大規模又は局地的な風水害が発現すると、原材料等の供給量が制限又は一時停止することで、当社グループの拠点及びサプライヤーで一時的に操業が停止し、生産及び出荷が遅延する可能性があります。
加えて、大気汚染、水質汚染、有害物質の除去、廃棄物処理、製品含有化学物質、製品リサイクル、容器包装、土壌・地下水汚染等に関する様々な環境法及び規則の適用を受けており、それらの遵守のために必要な経営資源を投入しておりますが、現在及び過去の生産活動、及び開発・販売活動にかかわる環境責任に伴う費用負担や賠償責任が発生する可能性があります。

4)知的財産権

当社グループは、製品やサービスの開発の中で多くの技術あるいはノウハウを蓄積し、それらを保護するための知的財産権の取得に努めております。しかしながら、一部の地域・国では、知的財産権を保護する制度やその適正な運用が不十分な場合があり、第三者が当社グループの知的財産権を使用して類似製品を製造、販売することを防止できない可能性があります。
また、当社グループでは他社の権利を侵害しないように製品等の開発を進めておりますが、見解の相違等により他社の知的財産権を侵害しているとされ、製品等の開発や販売に支障をきたす可能性や多額の損害賠償責任を負う可能性があります。さらに、現在当社グループがライセンスを受けている第三者の知的財産権の使用が将来差し止められる、あるいは不当な条件に変更される可能性があります。

5)人財確保

当社グループの新規事業を中心とした将来的な成長には、優秀な人財の継続的な獲得が欠かせないと認識しております。特に、データサイエンティスト等の先端技術人財は、当社事業の競合企業のみならず金融・サービス等、業界を超え、グローバルレベルで獲得上のコンペティターが多く存在しております。
当社でも雇用環境の整備や採用部門の強化を図っておりますが、会社の魅力や働くことの付加価値への訴求に対する重要性が増しており、多様な働き方のニーズへの適合や、従業員が成長できる環境をアピールできない場合は、人財確保がより困難になる可能性があります。

6)情報セキュリティ

昨今、企業を狙ったサイバー攻撃の攻撃手法が高度化、巧妙化しており、中でも、ユーザーアカウントのログオン認証を窃盗し、集中管理されている社内ネットワークに侵入し管理者権限を奪取、不正操作を行うといった被害事例が国内外で多数発生しております。また、各種IT機器やソフトウェアの脆弱性をついた攻撃も増えており、このようなサイバー攻撃に対するリスクは拡大しております。
当社グループにおいても、サイバー攻撃により管理者権限が奪取された場合、不正操作等により、技術、営業秘密、人事等にかかわる当社グループの秘密情報が第三者に漏えいし、不正、売買に使用される等の重大な情報セキュリティインシデントが発生する可能性があります。この場合、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

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