リスク情報
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に重要な影響を与える可能性がある主要なリスクを以下に記載しておりますが、これらのリスクは必ずしも全てのリスクを網羅したものではなく、想定していないリスクや重要性が低いと考えられる他のリスクの影響を将来的に受ける可能性もあります。
記載事項のうち将来に関する事項は、2026年3月末現在において入手可能な情報等に基づいて、当社グループが判断したものであります。
①経済環境に関するリスク
1)経済動向・市場環境
当社グループは、複合機やデジタル印刷システム、ヘルスケア用機器、計測機器や光学部材、ディスプレイ材料及び関連サービス等を、世界各国・地域の顧客に提供しております。これらの事業活動は、世界経済並びに特定の国・地域における経済情勢や地政学的情勢の影響を受けます。
主要市場におけるインフレの長期化や金融引締めに伴う景気後退、ウクライナ情勢や中東情勢の深刻化等により、当該地域における経済活動が制約又は停止された場合、顧客の投資抑制や個人消費の低迷を通じて、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、各国・地域において、当社グループが予期しない政策、法制度又は規制等の変更が生じた場合、事業活動が停滞し、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
2)為替レートの変動
当社グループは、高い海外売上高比率が示すようにグローバルに事業活動を展開しており、為替レート変動の影響を大きく受ける状況にあります。また、外貨建ての取引から生じる当社グループの資産及び負債の円貨額や海外子会社の外貨建財務諸表から発生する在外営業活動体の換算差額も変動するおそれがあります。ユーロにつきましては、為替レートが1円円安に変動した場合、欧州での利益増により、営業利益に約5億円のプラスの影響を与えます。人民元も同様に、1円円安に変動した場合、中国での利益増により、営業利益に約10億円のプラスの影響を与えます。一方、米ドルについて、1円円安に変動した場合、調達・製造コスト増等により、営業利益に約1億円のマイナスの影響を与えます。
②事業活動に関するリスク
1)デジタルワークプレイス事業 プリント環境の変化に関連するリスク
先進国や新興国を中心に、情報共有の媒体が紙からタブレット端末やスマートフォン等のデジタルデバイスへの移行が進展し、デジタルデバイスを前提とした情報共有が広がりつつあります。また、新型コロナウイルス感染症を契機として普及したリモートワークやハイブリッドワークは、生成AIの活用拡大やクラウドサービスの進展と相まって、紙を前提としない業務プロセスを定着させました。加えて、AIエージェントの普及拡大により業務のデジタル完結が一層加速することで、各国のオフィスにおけるプリント需要は構造的な変化として中期的に減少する可能性があります。
IDC(International Data Corporation)によると、2029年の世界市場における電子写真方式による総プリントボリュームは、2024年と比べて約3割弱減少すると予測されており、当社グループの注力するカラープリントは2024年比で83.3%に留まる一方、モノクロプリントは68.9%に落ち込む予測となっております。プリントボリュームの減少については、最近では減少ペースが緩和し、下げ止まりの兆候が指摘されるとの見方もある一方で、現時点では、中期的に想定を超えるプリント需要の減少が発生することを当社グループとしてはリスクとして認識しており、このような状況下で顧客動向に迅速に対応できない場合、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
2)各国・各地域の規制
当社グループの事業活動の多くの部分は、北米、欧州及びアジア諸国といった日本国外で行われており、その国や地域固有の法制、規制や承認手続きの影響を受けております。米国による各国に対する関税の賦課及び各国の対応、特に米中間での技術輸出規制等の経済措置の動向には常に十分な注意を払っておりますが、将来、各国の政府や国際的枠組による規制、例えば税制、輸出入規制、通貨規制、個人情報保護規制、デジタル関税、その他各種規則等が新規に導入される、又は変更された場合には、これらに対応するための費用が発生し、事業活動に支障をきたす可能性があります。特に、米中対立の長期化や経済安全保障政策の強化、レアアース等の重要資源に関する輸出規制の動向によっては、部材調達や生産活動に制約が生じるリスクがあります。
また、個人情報規制や生成AI規制については、巨大IT企業でのターゲティング広告への規制法案、欧州GDPR、欧州AI規制法等、各国で法制化、罰則が強化され、当社グループで推進している関連事業への影響が高くなります。
さらに、主要国における予期せぬ戦争状態等の発生により、それに対する各国の制裁措置が発動された場合、当社グループが予期しない法制、規制や承認手続き等の変更に直面するリスクがあります。また、特に、当社グループのヘルスケアユニットでは、事業活動を行っている各国の様々な医療制度や許認可の手続きの影響を受けております。医療制度改革等によって、予測できない大規模な医療行政の方針変更が行われ、その環境変化に速やかに対応できない場合、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
3)次世代技術変化
当社グループの事業環境に大きく影響を及ぼす因子として、生成AIやフィジカルAI等のAI技術の急速な進化と普及、環境法規制の強化等のグローバル規模での中長期トレンドの進行が挙げられます。これらの外部環境の変化に対応し、他社に先んじた技術革新を続けることが当社グループにとって重要な競争優位の源泉となりますが、競合他社が先行して類似技術や代替技術を開発し事業活用する可能性があります。従ってグローバルかつ広範な視点で競争優位になり得る革新的技術を開発対象として見定め、それらを迅速・柔軟に市場に提供できなければ、長期にわたり市場でのポジションを喪失する等、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
4)新製品への移行
当社グループが展開する事業領域においては、競合他社による既存製品・サービスのバージョンアップとの比較、並びに既存市場の製品やビジネスモデルを非連続的に変革し得る新たな製品・サービスとの比較という、二つの観点から、顧客が当社以外の製品・サービスを選択する可能性があり、新製品への移行リスクが常に存在しております。
前者については、個別のサービスや機能の追加に留まらず、顧客体験そのものを変容させるようなサービス・機能が市場に投入され、顧客の選定基準が高度化した場合にも生じる可能性があります。
後者については、破壊的技術の登場や社会的潮流の変化に伴うビジネスモデルの変革によって引き起こされる可能性があります。
5)他社との協業、企業買収等について
当社グループは、事業競争力の強化あるいは効率化の観点から、他社との協業、資本提携・企業買収、譲渡等を進めております。
企業買収等に伴い、のれん及び無形資産を計上しており、定期的に減損テストを実施しております。事業環境の変化に伴い、買収対象会社にかかる将来キャッシュ・フローの低下が見込まれた場合等では、減損損失を認識する可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
6)調達・生産等
当社グループの主力事業であるデジタルワークプレイス事業、プロフェッショナルプリント事業及びインダストリー事業では、コスト競争力の強化と市場への迅速な製品供給のため、海外及び日本における生産活動を継続しております。グローバルに生産活動を行う中で、各国・地域における法規制、労務政策、通商政策、輸出入規制、税制、サイバーセキュリティ事案、環境規制及び人権・環境デュー・デリジェンス関連規制の変更、並びに紛争や国際関係の緊張の高まり等に起因する地政学リスクが、従来以上に当社グループの生産・調達活動へ影響を及ぼす可能性が高まっております。特に米国においては、2025年以降の関税政策の動向を巡り、対象品目や適用条件の見直しが継続的に行われており、これにより調達コスト、物流網の設計、価格競争力及び収益性に影響を及ぼすリスクが引き続き存在しております。
また、ウクライナ情勢や中東情勢等を背景とする主要海上輸送ルートの不安定化、米中対立を背景とする輸出管理の強化、重要鉱物・電子部品・原油等の供給制約等により、原油価格の上昇、部品・原材料の調達難、輸送日数の長期化及び物流費の上昇が発生する可能性があります。加えて、金属材料、石油化学製品、電子部材、レアアース等の価格は品目ごとの変動性が高く、エネルギー価格や電力コストの上昇も含めて、生産コスト全体を押し上げる可能性があります。これらの要因により、当社グループの製品供給の安定性、生産効率、在庫政策及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、特定の製品・部品・材料・エネルギーをグローバルなサプライヤーから調達しておりますが、サプライヤーにおける品質問題、生産停止、自然災害、労働争議、電力制約、政策変更、輸出許認可の厳格化等により供給が途絶又は遅延した場合には、当社グループの生産及び供給能力に重大な影響を及ぼす可能性があります。さらに、サプライチェーンに関する環境・人権面での透明性確保やトレーサビリティ要求への対応が不十分な場合には、顧客対応、当局対応、取引機会及びブランド価値にも影響を及ぼす可能性があります。
7)グローバルサプライチェーン
当社グループの生産及び販売活動の多くは日本国外で行われており、サプライチェーンもグローバルに展開しております。そのため、各国・各地域における物流上の問題が当社グループ全体のサプライチェーンに波及し、供給遅延等を通じて経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、中国及びASEAN地域に生産拠点を有し、これらの拠点からグローバルに製品供給を行っております。これらの国・地域において、新たな感染症のパンデミック等により活動制限が発生した場合、港湾・空港での荷役作業の停滞や混雑により物流が滞り、販売拠点への安定供給に支障をきたし、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、製品の輸出先である欧米主要国においては、港湾における労使交渉の長期化・決裂によるストライキ、スエズ運河の航行制限(喜望峰ルートへの迂回)や中東情勢の緊迫化等を背景とした供給リードタイムの延伸、海上輸送市況の悪化及びコンテナ運賃の高止まりが生じる可能性があります。
さらに、米国の関税政策や中国建造船に対する入港料課徴施策等により、コンテナ船の船腹需給バランスが悪化し、輸送費が上昇するおそれがあります。これらの物流コストの上昇、並びに、これらの要因に起因して販売拠点における在庫不足や顧客への納品遅延が発生した場合には、売上機会の損失等を通じて、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
日本国内においては、2024年の働き方改革関連法の施行に伴うトラックドライバー不足の深刻化や中東情勢を受けた燃油の高騰により、供給リードタイムの延伸や物流コストの上昇リスクが顕在化しており、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
8)製造物・品質責任
当社グループは、国内外のグループ会社や生産委託先において厳格な品質保証体制を構築し、顧客に対して高い性能と信頼性を備えた製品及びサービスを提供しております。万が一、当社グループの製品あるいはサービスに欠陥が発生した場合、その欠陥に起因した損害に対して当社グループは賠償責任を負う可能性があり、また、その欠陥に対して多大な対策費用が発生する可能性があります。さらに、当該問題により、企業ブランドや製品ブランドが毀損され経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
③その他のリスク
1)人権
当社グループは、グローバルに事業を展開しており、世界各地のサプライヤーから部品・材料の調達を行っております。こうしたグローバルなサプライチェーンの中でも、東アジアや東南アジア等の地域は、労働集約型産業の集積、移住労働者の存在、労働関連法令の運用・執行状況のばらつき等の構造的要因を背景として、強制労働や児童労働等の人権に関する問題が相対的に発生しやすいとされており、当社グループの一部サプライチェーンも当該地域に存在しております。
このような人権に関する問題がサプライチェーン上で顕在化した場合には、社会的批判を受けることにより、投資家からの信頼喪失に伴う株価の下落や、顧客からの要求に適合できないことによる販売機会の逸失等を通じて、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、国連人権理事会における「ビジネスと人権に関する指導原則(UNGPs)」の採択を背景に、各国で人権尊重に関する法整備が進展しております。例えば、米国のウイグル強制労働防止法や、ドイツのサプライチェーンにおける企業のデュー・デリジェンス義務に関する法律に加え、EUにおいて企業持続性デュー・デリジェンス指令(CSDDD)及び強制労働製品禁止規則の施行が決定される等、各国における法規制の強化が加速しております。これらの法規制に適切に対応できない場合には、輸入禁止措置や高額な罰金の対象となるおそれがあります。
2)大地震・自然災害・感染症等
当社グループは、研究開発・調達・生産・販売等の拠点を世界各国に置き、グローバルに事業活動を展開しております。巨大地震や火災、気候変動に伴う大規模な台風・洪水・森林火災等の自然災害、大規模な感染症の発生、また戦争・テロ行為・サイバー攻撃等が発生した場合には、当社グループの設備等が被害を受け、一時的な操業停止や生産・出荷の遅れが生じることにより、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
特に、首都直下地震や南海トラフ巨大地震等が発生した場合には、想定を超える規模で被害が発生する可能性があると考えられます。
当社グループは、防災対策や事業継続マネジメントを継続的に推進しておりますが、このような事態が発生した場合には、拠点の機能停止や設備の損壊、電力・水・ガス等の供給停止、公共交通機関や通信手段の停止、さらにはサプライチェーンへの被害等により、顧客へのサービス提供や製品出荷の停止が生じ、当社グループの事業活動の継続に影響を及ぼす可能性があります。
3)気候変動・環境規制
世界全体が低炭素社会へ移行した場合、環境関連の法規制が厳格化するおそれがあり、追加的義務及び費用が発生する可能性があります。ステークホルダーからの再生可能エネルギー調達及び温室効果ガス排出ネットゼロの要求が高まることにより、調達・製造コストの増加につながる可能性があります。オフィスにおける紙出力の需要減による売上の減少、当社グループの拠点への排出規制及び化石燃料や化石資源の代替化による製造コストの増加等も当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
一方、世界各地で気候変動による物理的影響が顕在化した場合、森林火災の頻発化や水ストレスの高い地域での大規模な干ばつ発生により、原材料の調達が不安定になり生産能力減少による収益減につながる可能性があります。大規模又は局地的な風水害が発現すると、部材の供給量が制限又は一時停止することで、当社グループの拠点及びサプライヤーで一時的に操業が停止し、生産及び出荷が遅延する可能性があります。
また循環型社会に向けては、再生材料使用の義務化による調達・製造・製品コストの増加、使用済み製品のリサイクルや再製造の義務化による製品開発コストの増加につながる可能性があります。
加えて、大気汚染、水質汚染、有害物質の除去、廃棄物処理、製品含有化学物質、製品リサイクル、容器包装、土壌・地下水汚染等に関する様々な環境法及び規則の適用を受けており、それらの遵守のために必要な経営資源を投入しておりますが、現在及び過去の生産活動、及び開発・販売活動にかかわる環境責任に伴う費用負担や賠償責任が発生する可能性があります。
4)知的財産権
当社グループは、製品やサービスの開発の中で多くの技術あるいはノウハウを蓄積し、それらを保護するための知的財産権の取得に努めております。しかしながら、一部の国・地域では、知的財産権を保護する制度やその適正な運用が不十分な場合があり、第三者が無断で当社グループの知的財産権を使用して類似製品を製造、販売することを防止できない可能性があります。
また、当社グループでは他社の知的財産権を侵害しないように製品等の開発を進めておりまが、見解の相違等により他社の知的財産権を侵害しているとされ、製品等の開発や販売に支障をきたす可能性や多額の損害賠償責任を負う可能性があります。さらに、現在当社グループがライセンスを受けている第三者の知的財産権の使用が差し止められる、あるいは不当な条件に変更される可能性があります。
5)人財確保
当社グループは、将来像の実現に向けて、コア人財の継続的な育成及び獲得が不可欠であると認識しております。一方、日本を含む高齢化が進む地域に事業基盤を有する当社グループでは、将来像の実現に不可欠な「コア技術にかかわる人財」や、「モノづくりを支える生産技術・技能人財」の高齢化に伴う技術消失リスクが高まっております。
6)情報セキュリティ
企業を標的としたサイバー攻撃は高度化・巧妙化が進んでおり、特に、ユーザーアカウントの認証情報を窃取し、集中管理された社内ネットワークへ侵入した上で管理者権限を奪取し、不正操作を行うといった被害事例が国内外で多数発生しております。併せて、各種IT機器やソフトウェアの脆弱性を悪用した攻撃も増加しており、サイバー攻撃に起因するリスクは拡大しております。
当社グループにおいても、サイバー攻撃により管理者権限が奪取された場合、不正操作等を通じ、技術情報、営業秘密、人事情報等の機密情報が第三者に漏えいし、不正利用や売買等に使用される可能性があります。
このような重大な情報セキュリティインシデントが発生した場合、当社グループの経営成績及び社会的信用に悪影響を及ぼす可能性があります。








