人財こそ最も重要な資産

当社は、グローバルレベルで加速しているデジタルトランスフォーメーション(DX)の広がりのなかで、社会から必要とされる会社として持続的な成長を続けるために、プロダクト主体のビジネスから、画像やデータを活かしたサービス主体のビジネスへと業容転換を図ってきました。それを確固たるものにするための最も重要な資産は「人財」であると私は強く思っています。
以前のようなプロダクト主体のビジネスにおける資産は、例えば生産設備のように会社が所有しているものであり、人財に求めるのは資産を有効活用する能力やスキルでした。一方、デジタルの力を活かしてサービス主体のビジネスを展開するには、従業員一人ひとりが顧客の個々の課題を捉え、前例がないなかで自ら解を導き出すことが必要になります。
DX時代においてグローバルレベルでの競争に打ち勝つために、2020年度からスタートする中期経営戦略「DX2022」においては、一人ひとりの従業員が持つ独自性=「個」をいかに引き出すかを最優先課題として、人財戦略を推進します。

国・地域内での最適化からボーダレスでのダイバーシティ活用へ

今の時代を勝ち抜くには、考えが異なる人財による健全なコンフリクトを起こすことで、新たな発想や革新的なアイデアを生み出す必要があり、人財の多様性は組織の成長に欠かせません。したがって、これからの人財活用においては、国・地域ごとの最適化を目指すこと以上に、グローバルレベルで統合し、国籍・性別・勤続年数などにこだわらない、適所適材を強力に進めていくことが必要であることはいうまでもありません。
当社の他社に対する優位性の一つは、当社グループに在籍する4万人超の従業員の多様性であり、その約3/4が日本以外の地域で活躍しています。また、過去10年にわたる積極的なM&Aにより、これまで当社になかったアイデンティティ・知見・経験を持つ多くの人財を獲得してきました。この優位性を活かすために、グループ共通での人事・処遇制度の整備や人財流動化施策を推進し、すべての従業員が世界のあらゆる場所で、あらゆる挑戦ができる機会を提供していきます。
また、女性活躍の観点からは、当社グループの女性管理職比率は18%程度であるなか、日本本社では7%という現状があります。ダイバーシティを進めていくうえで、とりわけ日本においては経営の意思として女性活躍を強く推進していくべきと考えます。これまでも女性管理職比率を一つの指標として、女性が活躍できる組織風土醸成、教育研修の実施、制度面の拡充を積極的に行ってきました。また、各事業部門責任者は自ら女性リーダーを創り出すという強い意志のもとで、個々の育成計画に直接関わり、女性リーダーのパイプライン強化に注力しています。こうした取り組みに加えて、今後は女性が経営上位層で影響力を発揮できるよう、女性ハイポテンシャル人財の特定と計画的な育成を推進していきます。こうした取り組みにより、2021年度末時点における日本本社の女性管理職比率を8%とすることを目標に変革を進めていきます。

「DX2022」における人財力の強化方針

「DX2022」における人財力の強化方針

DXを実現するための価値創造プロセス構築に向けて

DXの実現に向けた人財力強化におけるテーマは2点あります。
一つは、DXによるビジネス成長を実現し、将来のCEO・執行役となり得るリーダーシップ人財の育成です。これまで次世代リーダー候補の育成は、部門・地域・国ごとの方針で実行されてきました。しかしこれからは、各リーダー候補をグループ全社の共有資産として可視化し、全社最適の視点に立ったローテーションの実施、タフアサインメントの付与や彼らの成長をサポートする教育プログラムの充実が不可欠です。そのために、組織・人財を定期的にレビュー・フォローアップするプロセスを導入し、事業トップが常に各部門におけるハイポテンシャル人財は誰なのか、彼らにどこまで伸びるポテンシャルがあるかを意識し、そのような人財に対してしっかりとした自覚を促していくことが必要になります。それと同時に、経営陣がリーダー候補を全社の人財資産としていかに育成していくかを共有し、戦略的な活用を可能にすることにより、ビジネスの持続的成長を実現していきます。
もう一つは、お客様に近いところでデジタルの専門家をオーケストレーションできる人財の獲得・育成です。こうした人財は、当社がDXを進めて競争力を維持、強化していくうえで非常に重要となり、2022年度末において200人程度は必要と考えています。そこで現在、候補者となり得る人財をグローバルレベルで選抜、あるいは外部から獲得し、育成する仕掛けをつくり、グローバルで約500人を候補者として選抜してアセスメントによる絞り込みを行っています。そして今後、グローバル人財委員会を通して、個々の特性に応じた育成計画を立て、グローバルでのさまざまな活躍のステージを付与し、成長を加速させていきます。

エンゲージメントの向上に向けて

新型コロナウイルス感染症の拡大により、これまで以上に従業員と会社のつながりの強さ、エンゲージメントが重要になっています。当社では感染症拡大時期に国内外の全拠点で、出社が必要不可欠な業務を除く全従業員をリモートワークに切り替えました。感染症拡大以前からリモートワークが可能な制度やITインフラを整備していたことで、スムーズな切り替えができたと自負しています。また、現在でも多くの従業員がリモートワークを行い、それがニューノーマル(新常態)の働き方として定着しつつあります。こうした状況下では、これまでオフィス内で当たり前のように醸成されていた上司・部下間、あるいは同僚との人間関係を、より意識的に構築していかなくてはなりません。また、偶発的な出会いや雑談から生まれていた「新たな気づきや発想」も、自ら仕掛けていかなければ得がたいものになりつつあります。
このようななかでエンゲージメントを高めるためには、ウィズ/ポストコロナの時代にコニカミノルタに求められる人財像を再定義し、そうした人財が活躍するために必要なインフラ整備と制度の見直しを進めること、またそのような環境下において、適切なマネジメントが行える管理職人財を選定・育成することが急務です。
これらを、当社が注力する「健康経営」で培ってきた「グローバルレベルでの競争に打ち勝つうえで基盤となる従業員の健康第一の風土」をベースに進めていきます。また、グローバルレベルでの従業員満足度調査の実施による定点確認と、その調査から浮き彫りになった国・地域・会社ごとの課題に対して、しっかりとフォローアップし、エンゲージメント向上に努めていきます。

PDF版 分割ダウンロード

イントロダクション (PDF:1.2MB)

  • コニカミノルタ フィロソフィー
  • はじめに
  • 目次

コミットメント (PDF:2.4MB)

  • CEOメッセージ
  • 取締役会議長メッセージ
  • 社外取締役対談

価値創造ストーリー (PDF:2.9MB)

  • 私たちのDNA
  • 私たちの目指す社会
  • 価値創造プロセス
  • 価値創造の源泉となる 無形資産
  • 価値を生み出す ビジネスモデル

価値創造戦略 (PDF:5.0MB)

  • 中期経営計画の振り返り
  • 新中期経営戦略 「DX2022」
  • 財務戦略
  • 顧客接点強化戦略
  • 技術戦略
  • 人財戦略
  • 環境戦略
  • 事業戦略
    • At a Glance
    • デジタルワークプレイス 事業
    • プロフェッショナル プリント事業
    • ヘルスケア事業
    • インダストリー事業
  • 財務・非財務ハイライト

価値創造を支える基盤 (PDF:1.7MB)

  • コーポレートガバナンス
  • 役員一覧
  • 外部評価

データセクション (PDF:1.3MB)

  • 10年間の主要財務データ
  • 財務分析
  • 連結財務諸表
  • 会社概要・株式情報
  • 用語集