社外取締役メッセージ

取締役会議長

社外取締役澤田 拓子

澤田 拓子

Q1新中期経営計画の策定にあたり、取締役会はどのように関与し、
市場からの評価をどのように受け止めていますか。

取締役会は、数値目標の妥当性にとどまらず、「持続的な企業価値向上に資する戦略となっているか」という観点で、2025年度の早い段階から議論と監督を重ねてきました。不確実性が高まる事業環境を踏まえ、以下の論点を重点的に検証しました。

  • 複数シナリオに耐えうるレジリエントな事業ポートフォリオの構築
  • 資本効率向上と成長投資の最適なバランス設計
  • 戦略実行力の強化と優先順位の明確化
  • AI・データ活用による生産性向上と意思決定の高度化

あわせて、資本市場の視点に立ち、マクロ環境の変化を踏まえた構造改革の必要性を継続的に問題提起するとともに、当社のエクイティストーリーの早期明確化と発信を執行陣に求めてきました。
新中期経営計画については、変革の方向性に対して市場から一定の理解が示されている一方、既存事業の収益性強化、成長ストーリーのスピード感、AI活用を含む構造改革の実効性には、厳しい視線が向けられていると受け止めています。特にPBRや資本効率の改善が十分に実現できていない現状に対し、取締役会としても従来以上に厳格な監督を行っていきます。取締役会は2026年度を「企業価値最大化に向けた重要な一年」と位置づけ、「情報機器事業を中心とした事業ポートフォリオ戦略の深化・加速」「ROE8%の達成に向けた既存事業の戦略遂行状況の厳格なモニタリング」「事業・コーポレート機能の横断的な改革による生産性向上」を確実に進めていきます。
加えて、インダストリー事業の成長ストーリーも踏まえ、戦略の妥当性、リスク認識と対応の適切性、リソース配分の合理性、AI活用による事業運営・生産性・意思決定の質の向上について、資本効率の観点からモニタリング・監督し、企業価値向上に向けた施策の進捗だけでなく、具体的な成果創出の状況を厳しく見極めてまいります。

Q2「長期成長の礎構築」を実現するうえで、重要と考える経営テーマをお聞かせください。

当社が「長期成長の礎構築」として注力すべきテーマは、次の5点に集約されると考えています。
第一に、「事業ポートフォリオの在り方の再定義」です。各事業のROICと成長性に基づく位置づけの妥当性、競争優位性の確保・強化余地、業界を巻き込んだ戦略的再構築の判断の適時性といった観点から、執行陣の判断を厳格に検証していきます。
第二に、「将来の成長を担うテーマの事業化」です。新中期経営計画では、AI活用や新たな成長領域への投資が掲げられていますが、重要なのは、これらを事業として成立させることです。取締役会としては、投資テーマの優先順位と集中度、実行体制・責任の明確化、マイルストーンに対する進捗の検証を通じて、将来の収益の柱に育てるための後押しを強化していきます。
第三に、「効率性向上と経営基盤の見える化・スリム化」です。事業拡大の過程で複雑化した組織構造を可視化し、グローバルで一体的に機能する体制へ再構築することが、成長の前提条件です。特に情報機器事業については、構造最適化による安定的なキャッシュ創出と、事業モデル転換の方向性が企業価値に直結するため、抜本的な構造改革・生産性向上を含めた収益力強化が急務です。
第四に、「人的資本と組織能力の強化」です。AI活用を含む事業モデル変革を実効性あるものとするためには、デジタル人財の育成、スキル転換、組織能力の強化が不可欠です。取締役会としては、人財戦略と事業戦略の整合性、責任体制、投資の妥当性を監督し、長期的な競争力の源泉を確立していきます。
第五に、「レジリエンスの確保」です。外部環境の変化や不確実性を前提に、複数のシナリオを想定した意思決定を行うことが計画の実効性を高めるうえで不可欠です。リスクの見える化と意思決定プロセスの高度化は、ガバナンスの中心的なテーマと捉えています。
当社は現代表執行役社長のリードのもとで、事業の選択と集中を確実に進め、約束した結果を出せる実力を構築してきました。取締役会は、執行陣の意思決定と実行の質・スピードを高め、建設的な関与とモニタリングを行い、資本市場との対話を通じて、持続的な成長ストーリーを確立していきます。

Q3最重要視しているKPI、監督・モニタリングの方針をお聞かせください

取締役会として最重要視しているKPIは、まずROEとROICです。これらはPBRと密接に関係する基礎的な指標であり、資本をいかに有効に活用し、持続的な価値創出につなげているかを測る重要な尺度です。次に、事業ポートフォリオ変革の進捗、成長領域の収益貢献の拡大、事業再編の進展を確認する指標として、PERを通じた市場の信認を重視しています。
中長期のKPIをモニタリングする大前提として、執行陣にはROEを分解した執行指標およびKPIの提示を求め、企業価値向上に向けた全体ストーリーを合意したうえで監督にあたります。基本姿勢は、執行陣が責任を持って実行することを前提に、取締役会は監督機能に徹し、その実効性と確度を資本市場の視点から見極めることです。これらの観点から取締役会は執行陣を支援するだけでなく、企業価値向上に向けた成果創出について明確な説明責任と結果責任を求めます。

指名委員会委員長

社外取締役峰岸 真澄

峰岸 真澄

前中期経営計画における経営陣および経営体制への評価と、今後強化すべき課題

前中期経営計画を振り返ると、当社は事業ポートフォリオの整理やグローバル構造改革を通じ、キャッシュ創出力の維持・改善など、経営基盤を着実に強化してきました。経営陣は掲げた方針・施策を着実に実行し、ステークホルダーへの約束を成果へ結び付ける経営チームへ進化していると評価しています。
一方で、持続的成長と市場期待への対応に向け、さらに踏み込むべき課題も明確です。成長領域の具体化と収益化までの時間軸の明確化、事業計画の数値精度向上と実行力の担保について、取締役会は一層厳格にモニタリングしてまいります。また、市場からは単年度での収益改善への期待も高まっており、より明確なコミットメントを示すとともに、戦略と実績のつながりをわかりやすく説明していく必要があります。
当社は長年培った技術や素材の強みを有しています。これらを既存事業の延長線上にとどめず、新たなビジネスモデルや収益機会につなげるには、優先領域へ資源を振り向ける事業構想力を備えた経営判断が不可欠であり、これが企業価値向上の鍵になると考えています。
ガバナンス面では、社外取締役を含む多様な視点による議論が定着しました。今後はこれを、戦略の進捗や仮説検証、資本効率、収益性改善に結び付く実効性の高いモニタリングへ進化させます。重要テーマごとの責任を明確化し、KPIの妥当性検証を起点とした進捗管理を通じ、執行のスピードと成果をこれまで以上に厳しく見極めてまいります。
指名委員会としては、今後の経営陣には、変革を構想し主導する力と、戦略を確実に実行し成果につなげる力を重視します。経営体制を厳格に見極めながら、持続的な企業価値向上につながるガバナンス強化において責任を果たしてまいります。

新中期経営計画の施策実行に向けて、社長および経営陣に求められる資質・役割

当社は、事業ポートフォリオマネジメントの強化と、オフィス事業を中心とした情報機器事業の収益改善を新中期経営計画の柱に掲げています。その実現には、経営トップおよび経営陣の意思決定の質と実行力が厳しく問われます。
社長には、全社最適の観点から資源配分を徹底し、事業ポートフォリオの変革を確実に実行する責任があります。成長性と資本効率を踏まえて投資の優先順位を明確化するとともに、構造的課題を抱える事業については、抜本改革を含めた意思決定を先送りせず実行することを求めます。特に情報機器事業では、収益構造改善を具体的な成果として示せるかが、経営の信頼性を測る重要な指標となります。また社長は、戦略を示すだけでなく、進捗管理と成果創出、環境変化への迅速な軌道修正を担う実行責任者であり、その意思決定のスピードと実行力が企業価値を左右します。
経営陣には、高い専門性と全社最適の視点から連携し、戦略を成果へ結び付けることを求めます。KPIへのコミットメントと迅速な対応、変革志向を備え、計画と実行の乖離を生じさせない実行重視の組織運営が不可欠です。
指名委員会としては、こうした役割を担える経営トップおよび経営陣の選任・評価を一層厳格に行ってまいります。

今後の企業価値向上を実現する経営体制構築に向けた指名委員会の取り組み

中期経営計画の先も見据え、その時点で会社に最適な経営体制を描き、持続的成長を支える経営基盤を計画的に構築することが重要です。
指名委員会は、経営人財の選任・育成の高度化を重要な責務と位置づけています。当社の戦略や事業ポートフォリオの変化を踏まえ、中長期的に求められる経営人財像を明確化し、それに基づく育成・配置を監督します。重要ポストの後継者計画についても、形式的な候補者選定ではなく、複数候補者に対する継続的かつ客観的な評価・育成プロセスを確認し、その実効性を高めていきます。
また、外部人財の登用も含めた多様な選択肢を排除せず、即戦力の活用によるスピードと多様性を両立できているかを確認します。経営陣の評価についても 、短期業績だけでなく、中長期の価値創造への貢献を含む多面的な評価体系を重視し、その結果が経営体制や報酬へ適切に反映され、成果責任の明確化と経営規律の強化につながっているかを監督してまいります。
指名委員会の役割は、これらの取り組みを独立した立場から検証し、必要に応じて選任・解任を含む適切な対応を適切なタイミングで行うことにあります。
実効性のある経営体制は持続的な企業価値向上の前提であり、その成果は市場から常に厳しく評価されます。指名委員会としては、ステークホルダーの期待に照らし、人財戦略と評価制度が実効的に機能しているかを厳格に見極めてまいります。

報酬委員会委員長

社外取締役河村 芳彦

河村 芳彦

新中期経営計画の開始に合わせて、役員報酬制度を全面的に見直し

当社は指名委員会等設置会社であり、取締役会の過半数が社外取締役で構成され、日本企業の中では最もガバナンスが強く機能する体制にあります。したがって、役員の報酬体系・水準は、指名委員会の社長指名と同様に、報酬委員会が最終決定権限を持ちます。
今般、2028年度を最終年度とする新たな中期経営計画のスタートに合わせて、役員報酬制度を全面的に見直しました。これには経営環境の変化という大きな背景と取締役会の重大な決意があります。
私が社外取締役に就任して痛感したのは、当社の経営陣の目線が、かつて在籍した会社と比較して内部に集中するという内向き傾向にあり、経営環境とずれが生じている点です。従来の安定株主がいて株主総会も形式的なものであった時代はすでに終わり、株式の持ち合いが解消され、機関投資家が主たる株主になる状況になりました。会社はこのような変化に対応できているのでしょうか。
具体的には、資本市場と向き合って経営を行う、実務的には予算や決算において市場コンセンサスを踏まえた視点が不足しているということです。どこの会社でも上場企業である限りは常に市場コンセンサスを意識して目標設定、投資や生産、営業活動を行います。優良な上場企業はP/L上で利益が出ていれば良いということではありません。コンセンサスとの対比が勝負になります。コンセンサスを意識した経営が弱ければ、当然のことですが、資本市場からの反応は厳しいものになり、株価は低迷し、結果、PBR(株価純資産倍率)が0.5前後で低迷するという状態になります。
株式会社である以上は、この資本市場に正面から向き合うということは最も重要な経営課題の一つです。
こうした経営課題に対して社長をはじめとする経営幹部に強く意識していただくために、資本市場と目線を合わせるという意味で株式報酬の導入・拡充を図りました。ここには経営陣の意識改革を促すという取締役会としての重大な決意を反映しています。従来のトップマネジメントの報酬体系では、業績評価にESGなどの定性目標が含まれていて、さらには、報酬の過半が現金支給で株式報酬の比率は小さいものでした。今回は業績評価を定量的な業績目標(予算・中計目標達成)に集中的に連動させ、株式報酬部分の割合を増やしました。これにより経営トップは企業価値向上につながる定量的な業績目標の達成により強くコミットすることになり、資本市場と同じ目線に立つことができます。これは決してESGなどの定性的な経営目標を軽視するものではなく、経営目標はその時々の経営課題で最も重要なパラメーターに沿って決めるという経営の大原則に基づくものです。

リーダーシップを強化し、資本市場の期待に応える経営を

もちろん経営幹部の報酬体系の変更だけで、直ちに会社業績が伸長し、資本市場からの評価が高まるわけではありません。会社経営は、製造、営業、研究開発、財務・経理、経営戦略、人事など幅広い分野における取り組みの積み重ねと、それらの総合力によって成り立つものです。そのような中にあっても、これらの活動を統合し方向付ける経営のリーダーシップは、会社業績の向上と市場価値の最大化にとって極めて重要な要素であると考えています。今回の報酬体系の変更がこのリーダーシップのあり方に一石を投じ、経営のベクトルが資本市場の期待と合致し、リーダーシップが現場にも浸透し、全社一丸となって新中期経営計画の経営目標達成に向けて邁進することを期待しています。
上場企業である以上、企業価値の向上は最も重要な経営目標です。そうでなければ非上場化したほうが良いと思います。内向き目線で社内の調整に追われる経営とは決別する必要があります。資本市場にコンプライした経営を目指すことが会社発展の原点になります。会社が変われるかどうかの正念場において、報酬委員会としても成果に対して厳格に責任を問う姿勢を堅持してまいります。

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マネジメントメッセージ (PDF:1.5MB)

  • CEOインタビュー
  • Topics 経営層との対話を通じて従業員の中期経営計画への理解を促進
  • 取締役会議長メッセージ

中長期の価値創造ストーリー (PDF:2.6MB)

  • 経営理念
  • 技術進化のあゆみ
  • 事業概要
  • 価値創造プロセス
  • 中長期のロードマップ(経営改革の変遷)
  • 中期経営計画(2023-2025)の振り返り
  • 中期経営計画 Corporate Plan 2026-2028
  • インダストリー事業
  • 情報機器事業
  • 画像ソリューション事業
  • 【特集】コニカミノルタが挑む社会イノベーション

持続的成長に向けた資本戦略 (PDF:1.4MB)

  • 財務戦略
  • 技術・知財戦略
  • 人財戦略
  • DX戦略
  • 生産・調達戦略

サステナビリティ戦略 (PDF:1.2MB)

  • サステナビリティマネジメント
  • マテリアリティ
  • マテリアリティごとの目標と実績
  • 長期環境ビジョンとその取り組み:気候変動への対応
  • Topics 2025年度、温室効果ガス/地球資源削減貢献量の拡大に貢献したソリューション
  • 長期環境ビジョンとその取り組み:有限な資源の有効利用
  • TCFD提言に基づく情報開示
  • TNFD提言に基づく情報開示
  • 人権の尊重

企業価値向上に寄与するガバナンス (PDF:1.2MB)

  • 取締役一覧・執行役一覧
  • スキル・マトリックス
  • コーポレートガバナンス
  • 指名委員会委員長メッセージ
  • 報酬委員会委員長メッセージ
  • リスクマネジメント

データセクション (PDF:1.1MB)

  • 11年間の主要財務データ
  • 会社概要・株式情報・ 外部評価