顧客責任・品質
基本的な考え方
コニカミノルタは、価値ある製品やサービスの提供を通じて、お客様の満足と信頼を最大化することを目指しています。その基本的な考え方を「コニカミノルタ品質方針」として定め、世界各国のグループ会社で共有しています。
特に重要課題としているのが、製品・サービスの安全性、信頼性の確保、品質コンプライアンス問題の防止徹底であり、グループ統一の品質保証体制を構築し、製品ライフサイクルの観点から取り組んでいます。さらに、お客様との関係性をより深めて、顕在化しているニーズだけでなく、潜在的なご要望も汲み取って実現することで、お客様の抱える課題を解決し、よりよい社会の実現に貢献していきます。
コニカミノルタ品質方針
私たちコニカミノルタグループは、お客様最優先と品質第一を徹底し、価値ある製品とサービスを提供することで、お客様の満足と信頼を最大にします。
私たちは、品質保証活動を信頼できるデータで定量的に把握・分析し、継続的な改善に繋げていくことを基本姿勢とします。
「―測定なくしてコントロールなし―」
業界トップの顧客満足の実現
私たちは、常に世の中の商品動向を分析し、独自の改善によって、高品質・高信頼製品とサービスを提供し、業界トップの顧客満足を実現します。
お客様のニーズを先取りした商品の提供
私たちは、常にお客様の立場で商品の使いやすさを追求し、お客様のニーズの変化を的確に捉えた商品を提供します。
グローバルな品質保証体制の構築と展開
私たちは、国内外関係会社を含むグループ全体で統一されたグローバルな品質保証体制を構築し、展開していきます。
製品全段階での品質マネジメントの実践
私たちは、製品・サービスの企画・開発段階から、生産、使用、廃棄に至るライフサイクルの各段階に関る品質を、定量的な指標に基づいて計測し、目標達成のマネジメントを実践します。
品質保証プロセスの継続的発展
私たちは、常に業務の改善・改革活動を自主的かつ積極的に展開し、品質保証プロセスの発展に努めます。
品質リスクの極小化
私たちは、品質問題の未然防止とお客様への迅速な対応によって、品質に起因するお客様と企業のリスクをなくします。
商品安全情報の積極的開示
私たちは、商品の安全性に関する情報を積極的に開示し、お客様に安心して使用していただくとともに社会に対する説明責任を果たします。
2022年4月1日
コニカミノルタ株式会社
代表執行役社長 兼 CEO

体制
品質担当役員が、品質マネジメント全体を統括しています。
コニカミノルタは、グループ全体の品質に関する責任と権限を担う品質担当役員を議長として「品質保証責任者会議」を設置し、品質マネジメントを統括しています。同会議は、原則として四半期ごとに開催され、品質計画の推進、進捗確認とともに、品質保証に関する情報共有、検討を行います。さらに各事業では、品質課題についてPDCAサイクルを徹底することで継続的な品質向上に取り組んでいます。
戦略・目標・実績
「リスク低減」と「組織能力維持・強化」にフォーカス
昨今の世界情勢、セキュリティへの脅威増大、デジタル法規制強化などの外部環境の激しい変化や、高齢化に伴う人員・スキル減少などの社内課題を踏まえ、コニカミノルタ品質中期計画・戦略では、品質保証の基盤強化に重点を置き、「リスク低減」と「組織能力維持・強化」に注力し、品質による損失を削減することで、経営目標達成に品質面から貢献する方針としています。
この戦略に基づき、以下のKPIを設定しています。
重要施策とKPI
コニカミノルタは、品質コンプライアンスを徹底したセキュアな製品・サービスの開発・提供から、運用・保守に至る取り組みをグローバルで推進することにより、重大な製品事故の防止に努めています。
| 実績 | 目標 | ||||
|---|---|---|---|---|---|
| 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 | 2025年度 | 2028年度 | |
| 製品の重大事故※ 発生件数 |
0件 | 0件 | 0件 | 0件 | 0件 |
- ※重大事故:製品使用者の生命、身体に重大な被害を及ぼした場合、製品以外の財産に重大な被害を及ぼした場合を対象とします。
- ※集計対象:すべてのコニカミノルタ製品
| 実績 | 目標 | ||||
|---|---|---|---|---|---|
| 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 | 2025年度 | 2028年度 | |
| 重大な製品 セキュリティ事故※ の発生件数 |
0件 | 0件 | 0件 | 0件 | 0件 |
- ※重大なセキュリティ事故:製品セキュリティに関して、製品・サービスの使用者のビジネスに深刻かつ重大な影響を及ぼした場合を対象とします。
データ詳細はESGデータ内の社会データをご参照ください
取り組み
リスク低減の取り組み
品質コンプライアンス遵守強化
昨今、他社にて頻発している品質不正事案や認証取得漏れの事案、法規不遵守のリスクに対し、コニカミノルタとしても最重要テーマの一つとして、予防活動に取り組んでいます。
品質コンプライアンス強化に向けては、品質不正のみならず、法規制、認証、契約等の不遵守防止に向けて、ガバナンスの強化を図っています。組織の定期診断や品質従事者に向けた意識調査をもとにした改善活動のPDCAを回すことによるリスク低減、階層別教育や啓蒙による定期的な品質意識の醸成のほか、新たな法規制や認証等を毎月入手し、社内への周知および業務への実装を推進する体制・仕組みを運用することで、法規制等への確実な対応を図っています。
製品セキュリティ強化
デジタル社会の進展や新たな技術の進化により、コニカミノルタが提供する製品やサービスにおいて、お客様をセキュリティの脅威にさらすリスクを持つ可能性があります。コニカミノルタでは、リスクの極小化に向け、サービス事業およびセキュリティ対応に関連する社内規程の運用を強化しています。製品セキュリティ事故発生時の対応と脅威への対策・予防として、製品の脆弱性に関する情報を全社で一元管理し必要な対応を推進するとともに、公的機構等とも連携するための全社共通組織として「KONICA MINOLTA PSIRT(注)」活動を展開しています。
また、「責任ある脆弱性開示(Coordinated Vulnerability Disclosure)」の考え方に基づき、外部のセキュリティ研究者やお客様等からの脆弱性情報の提供を受け付ける体制を整備しています。代表ウェブ窓口を公開し、通報を受領した場合にはPSIRTが速やかに内容を評価し、必要に応じて製品改修や関係機関との連携を行うとともに、適切なタイミングでの情報開示を実施しています。これにより、外部ステークホルダーとの協働による製品セキュリティの継続的な向上と、透明性の高い情報開示の実現に努めています。加えて、AIを活用した製品・サービスの販売も増えており、AIガバナンス体制を構築し、リスクアセスメントの実施と社内外のAI有識者で構成する「AI倫理審査委員会」での審議等により、AI利活用における倫理的・法的な問題発生リスクの低減に努めています。
- (注)KONICA MINOLTA PSIRT (Product Security Incident Response Team)、コニカミノルタにおける製品脆弱性対応チーム
セキュア開発・運用プロセスの推進
セキュアな製品・サービスを開発・運用するためのさまざまな取り組みを推進しています。コニカミノルタは、セキュアな製品・サービスを開発・提供し、セキュアに運用・保守するための取り組みをグローバルで推進することにより、重大な製品セキュリティ事故の防止に取り組んでいます。
製品セキュリティガイドライン
コニカミノルタは、「製品セキュリティガイドライン」としてセキュア開発・運用を実現するための社内規程やガイドライン類を制定し、グループ全体で製品・サービスのセキュア開発・運用プロセスを推進しています。製品セキュリティガイドラインは、世間動向や各国の法規・外部規格類に応じ、常にアップデートを行っています。製品セキュリティガイドラインに準拠した開発・運用は、コニカミノルタグループのすべての製品およびサービスに適用され、製品・サービスの企画・提案から廃棄・サービス終了に至るまでのライフサイクル全体、ならびに開発・運用委託先や調達先などのサプライチェーンを含む活動として実施されます。製品セキュリティガイドラインでは、セキュリティバイデザインとリスクに基づく適切なレベルのサイバーセキュリティを確保・維持を定めており、データ保護、不正アクセス防止、改ざん防止、脆弱性対策、安全なデータ削除、サービス継続性確保など機密性・完全性・可用性・真正性の保護の対策を定めています。また、脆弱性開示ポリシー・脆弱性対応ポリシーを定め(2026年度公開予定)、セキュリティインシデントを未然に防ぎ、お客様やシステムへのリスクを最小限に抑えています。
また、製品セキュリティの課題について討議する、社内横断による「製品セキュリティ推進会議」を定期的に開催し、社内外のベストプラクティス情報を共有するなど、継続的なレベル向上に取り組んでいます。
全社推進体制
コニカミノルタは、品質担当役員を責任者とする製品セキュリティの全社推進体制を確立し、品質本部主管のもと、すべての事業部門に製品セキュリティ推進活動を展開しています。
脅威分析とセキュリティ対策
製品・サービスの開発を進めるにあたり、システム設計上の脆弱性を排除し、セキュリティ事故の発生を未然に防ぐため、開発の上流段階で「脅威分析」を実施します。保護すべき資産に対し、想定されるセキュリティ上の脅威を網羅的に抽出し、それらに対抗するセキュリティ対策を検討して、要件定義に反映させます。
また、社内のセキュリティ関連の有識者による「セキュア開発CoE」を立ち上げ、各部門の製品セキュリティに関する専門スキルの向上の支援を行っています。
脆弱性診断
コニカミノルタが開発するソフトウェアや、それに組み込むOSS(Open Source Software)モジュールやアプリケーションには、脆弱性と呼ばれるセキュリティ上の欠陥が存在する場合があります。脆弱性を放置すると、サイバー攻撃によるセキュリティ事故を引き起こすリスクがあるため、開発段階で脆弱性診断を行い、製品・サービスのローンチ前に問題を修正しておく必要があります。
コニカミノルタでは、OSS利用状況を全社で一元管理するとともに、全社共通の脆弱性診断ツールとして、静的解析ツール(SAST)、動的解析ツール(DAST)を複数用意し、ソフトウェアやシステムの脆弱性の検出と修正を行っています。また、セキュリティ上のリスクが特に懸念される製品・サービスについては、ペネトレーションテストを外部に委託して実施するなど、さらに強固なセキュリティ対策を進めています。
セキュアな運用・保守
製品・サービスが市場にローンチされた後、お客様に安心して使い続けていただくため、セキュアな運用・保守のためのガイドラインを策定し、社内に展開しています。それにより、市場サポートにおける過失・過誤によるセキュリティ事故の防止に努めています。
製品セキュリティ教育
製品・サービスのセキュリティに対する従業員の意識とスキルの向上を目指し、セキュア開発・運用プロセスの実施を徹底させるため、従業員向けの教育プログラムを複数用意しています。新入社員教育、製品セキュリティ一般教育、脅威分析ワークショップをそれぞれ複数回開催し、セキュリティを考慮すべき製品・サービスに関わるすべての従業員に対して教育を進めています。今後も教育プログラムを拡充・強化し、さらなるレベル向上を目指します。
脆弱性情報の収集と対処
製品・サービスの出荷後・運用開始後も、継続的に脆弱性情報を収集・対処し、安全・安心な製品・サービスを提供し続けます。
公開された脆弱性情報の収集と対処
ソフトウェアについては毎日新たな脆弱性情報が発見・報告されており、米国NIST※1のNVD※2では年間約50,000件(2025年実績)の脆弱性情報が新たに公開されています。そのため、製品・サービスのローンチ後も脆弱性情報を収集し、該当する脆弱性に対処することが求められます。NVD以外の脆弱性情報公開データベースも含め、これらの情報を日常的に監視し、コニカミノルタの製品・サービスに影響する可能性がある情報を早期にキャッチアップして社内に情報展開するとともに、影響を受ける製品・サービスに対しては、必要に応じてリスクを低減するための対策や緩和策を実施していきます。
- ※1NIST(National Institute of Standards and Technology):米国標準技術研究所
- ※2NVD(National Vulnerability Database):NISTが公開している脆弱性情報データベース
KONICA MINOLTA PSIRT
製品・サービスの脆弱性に関する情報を全社で管理し必要な対応を推進するとともに、社外の公的機関などと連携するための全社共通組織として「KONICA MINOLTA PSIRT※1」を2017年12月に立ち上げ、活動を開始しました。また、社内IT資産のセキュリティインシデントを取り扱うCSIRTチームとも連携し、必要な対応をグローバルに展開する体制を整えています。さらに2019年5月には、各国のCSIRT・PSIRTチームが所属する国際フォーラムである“FIRST”※2に加盟し、企業間での情報連携やセキュリティ貢献が可能な体制を整えました。
コニカミノルタの製品・サービスに影響がありそうな脆弱性情報を発見した場合は、脆弱性情報の取り扱い手順を定めた社内ルールに従って、脆弱性の検証、トリアージ、対処を進めるとともに、必要に応じて情報公開を検討します。その社内ルールは、NISTのCybersecurity Framework※3や、FIRSTのPSIRT Services Framework※4、その他の国内外のガイドラインなどに基づいて構成されています。
PSIRTの重要な役割として、社外のステークホルダーからの脆弱性情報の受付と対応があります。コニカミノルタの製品・サービスに関する脆弱性がセキュリティ研究者やセキュリティベンダーなどによって発見された場合、PSIRTは直接的または間接的に脆弱性情報の届け出を受ける窓口として機能します。脆弱性の届け出を受けた場合、国際的な脆弱性ハンドリングプロセス※5※6※7に準拠して適切な対応を行います。
- ※1PSIRT (Product Security Incident Response Team): 製品やサービスの脆弱性対応チーム
- ※2FIRST (Forum of Incident Response and Security Teams)別ウィンドウが開きます
- ※3Cybersecurity Framework別ウィンドウが開きます
- ※4PSIRT Services FrameworkPDFファイル・別ウィンドウが開きます
- ※5ISO/IEC 29147:情報技術-セキュリティ技術-脆弱性の開示別ウィンドウが開きます
- ※6ISO/IEC 30111:情報技術-セキュリティ技術-脆弱性ハンドリングプロセス別ウィンドウが開きます
- ※7情報セキュリティ早期警戒パートナーシップガイドライン別ウィンドウが開きます
製品セキュリティ事故発生時の対応
市場で製品・サービスのセキュリティ事故が発生した場合、迅速な対応に努めます。
製品セキュリティ事故発生時のエスカレーション体制
セキュア開発・運用プロセスによりセキュリティ事故を未然に防ぐ対策や、ローンチ後の脆弱性情報の収集・対処に取り組んでいますが、設計上のバグや運用上の過失・過誤による問題が発生する可能性はゼロではありません。また、サイバー攻撃の手法も高度化・巧妙化を続けており、セキュリティ事故を完全になくすことは困難です。
コニカミノルタグループでは、市場品質問題への対応として「グループ市場品質管理規程」に基づく対応を進めていますが、製品・サービスのセキュリティ事故が発生した場合にも、製品品質に関わる問題が発生した場合と同様にグループ統一の「市場品質速報データベース」に情報を登録し、品質担当役員を含む社内関係者に即座に情報伝達しています。さらに、IT担当役員およびCSIRTにも情報展開し、全社を挙げてセキュリティ事故の早期復旧と原因解析、再発防止に努めています。万が一、製品・サービスに起因する事故で機密情報やお客様の個人情報が漏洩した場合などには、お客様へのお詫びと説明を行うとともに、関係省庁・関係機関へ速やかに報告いたします。
市場品質向上
品質保証体制の強化
コニカミノルタは、品質保証体制を構築し、品質課題を追求するとともに、製品・サービスの安全性に関わる市場品質問題の解析を強化し、重大事故の防止と品質問題の低減に取り組んでいます。
また、製品安全を含めた品質課題について討議する、グループを横断した品質会議を定期的に開催し、PDCAサイクルを徹底することで、継続的な品質向上に取り組んでいます。
市場品質問題への対応
全世界の販売拠点では、製品やサービス品質に関わる問題が発生した場合、直ちにグループ統一の「市場品質速報データベース」に情報を登録することが義務づけられています。登録された情報は即座に責任者に伝達され、関連部門で共有されます。こうした体制のもと、すべての登録案件に対して審査を徹底し、原因の解析、対策の実施および技術・評価基準への反映を行うことで、再発防止に努めています。
また、万一、安全性に関わる事故が発生した場合は、原因の如何を問わず、直ちに当該事業の責任者へ報告するとともに、品質担当役員および品質統括部門、広報、法務部門との情報共有を行います。特にリスクの大きな品質問題については、「グループ市場品質管理規程」に基づいて「品質問題対策会議」を開催し、迅速な対応、情報開示を徹底しています。
リスクマップの活用
安全性を評価する指標として、市場事故の危害の程度と発生頻度によってリスクの大きさを表現する「リスクマップ」を活用しています。これによって、市場品質問題のリスク評価と対策効果を客観的に判断するだけでなく、開発段階においてもリスク評価のツールとして活用することで、より安全性の高い製品づくりを追求しています。
具体的には、情報機器事業ならびにヘルスケア事業では、世界各国のお客様から寄せられた情報を、定められたルールに則って集約、精査、識別し、なかでも製品の安全性に関わる情報については、リスクマネジメントの手法を活用し、判断基準を明確にすることで、市場への迅速な対応とともに、本質的な原因究明や手順の改善につなげています。
品質コストの可視化と継続的改善
コニカミノルタでは、高品質を求めて常に改善活動をしています。2015年から品質不良が原因で発生する活動に関わる損失(品質コスト)を計測しており、継続的な取り組みを目標に立ててPDCAサイクルを回しています。
グループ内での品質問題の共有と対策の水平展開
コニカミノルタでは前年度に発生した製品安全事故・製品セキュリティ事故について、事故年次報告会を毎年開催していました。この報告会では事業の枠を超えて市場で発生した製品事故事例や未然防止への取り組みを共有することで、全事業の「安全意識の向上・安全風土の醸成」「事故の未然防止/再発防止」に役立てています。
2025年度からは、テーマ領域を「事故」だけでなく、「品質問題全般・品質コンプライアンス」まで拡張し、「品質の重要性」や「品質保証活動への理解・認知」のさらなる向上を目指しています。
製品安全基準の高度化
オフィスで使用される複合機(MFP)や印刷用機器には、使用方法の誤りや部品の故障などがあっても、感電や発煙、怪我を引き起こさない設計が求められます。そのためコニカミノルタは、法的基準よりも厳しい独自の製品安全基準を設けて、製品のさまざまな箇所についてのチェック項目を詳細に規定しています。
さらに、過去に発生した品質問題を徹底的に分析し、原因を究明して対策を検討するとともに、その結果を製品安全基準に反映させています。こうした取り組みを継続することで、品質事故の再発防止はもちろん、事故発生につながる“芽”を摘み取るよう努めています。
製品安全教育
コニカミノルタは、製品安全に関わる知識の習得や安全意識の向上を目的に、設計・開発、生産技術、調達、品質保証などに携わる技術系従業員を対象とした「製品安全教育」をグループ全体で展開しています。また、知識や意識の継続を目的に、リフレッシュ教育も設置し、繰り返しの受講も進めています。教育実施後は受講者へのアンケートを実施し、実務に役立っているかを検証するとともに、その結果を研修内容へフィードバックし、さらなる改善につなげています。
これらの施策をより確実に実施するため、「製品安全教育」を用いて品質マインドの定着に努めています。
組織能力維持・向上の取り組み
TQMによる組織能力の維持・向上
コニカミノルタは、経営戦略の実現とお客様への価値提供を両立するために、組織としての力を磨き続けています。その中核を担うのが、TQM(Total Quality Management:総合的品質マネジメント)です。
コニカミノルタのTQMの考え方として、経営トップの方針を現場の一人ひとりが理解し、日々の業務に落とし込む「方針管理」をトップダウンアプローチで遂行します。一方で、コニカミノルタ独自のQCサークル活動である「プロセス改善」による論理的思考に基づいた改善をボトムアップ活動として実践して組織の底上げを行います。さらに、「品質教育」で品質を支える人材を育成し、「プロセス改善」の基盤を形成します。このように上下双方向からのアプローチによって、戦略と現場の実行力をつなぎ、確実な成果へと導いています。
方針管理の実践力強化
経営トップの方針を現場の一人ひとりが理解し、日々の業務に落とし込む「方針管理」を通じて、戦略と現場の実行力をつなぎ、確実な成果へと導いています。PDCAサイクルを徹底的に回すことで、目標達成に向けた改善のスピードと質を高めています。
また、2026年度からは、全社の管理職以上に対する方針管理の教育推進や、方針管理の運営者を対象とした組織間交流会を実施し、組織の困りごとや解決策の共有・意見交換を行って、取り組みを活性化していきます。
プロセス改善による論理的思考力強化
「プロセス改善」は、製造部門にとどまらず、管理・間接部門を含めた全社的な取り組みとして展開。各組織状況に応じた施策展開を行い、論理的思考に基づいた改善を通じて、業務効率の向上、人財育成、そして職場の活性化を実現しています。これらの活動は、国内外のグループ会社にも広がり、毎年、国内・海外でチャンピオン大会を開催することで、好事例の共有を図り、学びの場として組織力の底上げをしています。グローバルでの価値創出に貢献しています。
品質教育による専門人財の育成
コニカミノルタでは、自身の強み・業務能力を可視化し、キャリア開発や人財配置に活用するスキル体系として、CDS(Career Development Support)スキルがあります。このCDSスキルに、品質に関する能力を向上させるための教育セミナーを紐づけた「品質教育プログラム」を体系化し運用しています。製品・サービスの品質を支える人財の育成に力を注ぎ、現場での実践力を高めています。
顧客満足向上の取り組み
カスタマーリレーションシップの強化
お客様との長期的なお付き合いを通じて、お客様からの評価と信頼を高めていきます。コニカミノルタが取り扱う情報機器や医療機器、計測機器などの製品は、ご購入後の継続的なサービスが不可欠です。コニカミノルタは、こうした長期的なお付き合いを通じてお客様からの評価と信頼を高め、ほかのお客様にも推奨いただけるような関係を築き上げることを目指しています。そのため、お客様の声を積極的に収集し、製品やサービスの改善に活かす仕組みを構築するとともに、グループ全体で「カスタマーリレーションシップ」の強化を図っています。
お客様に密着した専門組織設置による顧客価値提供
産業印刷・テキスタイル印刷といったお客様からのカスタマイズ要望の多い領域での搭載判断・実践スピード向上、お客様との信頼関係の強化を狙いとした専門組織を立ち上げました。専門組織では、開発・品証保証・カスタマーサービス・事業部門との連携体制でお客様との直接コミュニケーションを密に行うことにより、特殊メディア対応、ワークフロー・ソフトウェアの最適なカスタマイズ対応や装置の信頼性を向上させる機能改善を迅速に行っています。このお客様に密着した取り組み・要望にお応えした結果として、お客様のプリントボリューム増加やお客様の新規導入案件の増加につながっています。
アジャイルによるお客様との共創
印刷後工程の一つに「帯掛け」作業があります。従来、お客様はこの作業を人手で行っていたため、作業負荷やミスのリスクが高く、在庫管理の課題も抱えていました。そのため、お客様は帯掛けの自動化を強く要望されていました。私たちはお客様の「自動帯掛けの実現を早急に見たい」というニーズ(価値)に気づき、他社の帯掛け機と商業用自社プリンターをつなぐハードウェアをアジャイル手法で開発。リクエストからわずか1週間後には、コンセプト機を展示会に持ち込んで自動帯掛け機能を披露できた結果、製品導入につながりました。
顧客の声を反映しながら、つくりたい機能をモジュール化し、各モジュールの組み合わせで製品機能を達成することで、小規模投資と短期間での製品提供を可能にしました。確実に見えているニーズに対し、顧客との”共創”で迅速に価値検証するため、ソフトウェアだけでなくハードウェア開発にもアジャイルでスピード感高く対応し、拡張を繰り返しながら製品化につなげています。
このように、コニカミノルタでは、お客様に対して迅速に価値提供ができるアジャイルの取り組みを全社的に推進・展開しています。
お客様の生産プロセスに深く入り込み、印刷ビジネスのDXを支援
コニカミノルタは、印刷業界のデジタル化を推進するために「Workflow DX」と名づけた活動を開始しました。この活動では、デジタル印刷の現場に残るアナログな生産プロセスの課題と向き合うため、お客様の生産現場に深く入り込み、お客様との共創によって生産プロセスのデジタル化を支援します。経営者のビジネス変革の方向性と現場の課題を理解し、そのギャップを埋めるためのデジタル化をともに考え、提案しています。具体的には、生産プロセスのデジタル化提案におけるポイントは3つです。(1)作業者のタッチ数を減らし、単純作業からクリエイティブな作業に時間を移行できるか。(2)作業進捗をみえる化し改善効果を計測できるか。(3)投資可能か。これらの実現のために、ICTスペシャリストがお客様の既存システムと自社製品・他社製品・カスタマイズ品などさまざまな手段をどう組み合わせるのが最適かを考え、提案しています。このように、お客様との共創を起点として、デジタル印刷に適した循環型のサプライチェーンを構築し、印刷の価値向上と業界の活性化を図り、物流なども含めたサプライチェーンの改革によって環境負荷の低減にも貢献しています。
情報機器事業において、お客様関係力を測るNPS®調査をグローバル展開
情報機器事業では、お客様関係力の強化に向けた取り組みを組織的に展開するため、2012年にカスタマーリレーション(CR)組織を設置し、目標指標にNet Promoter Score® (NPS®)※を導入しました。従来のお客様満足度調査にNPS®を加えた独自の科学的アプローチをグローバルに展開し、その結果を製品・サービス品質の改善に活かしています。
2017年度から、お問い合わせの電話や修理対応など、お客様との接点における満足度とNPS®を把握する「トランザクション調査」システムを導入、2019年度からは導入国を拡大し、2020年度には、「トランザクション調査」システムを利用したサービス改善プロセスを開始しました。個々のお客様のご要望や不満点をリアルタイムに把握し、迅速な改善を行っています。NPS®調査による全体的な課題と、トランザクション調査による個々のお客様の課題についてPDCAサイクルを展開することで、NPS®のさらなる向上に取り組んでいます。
※Net Promoter Score®(NPS®):企業や製品、サービスを他者に推奨する割合を測定した指標。Net Promoter Score®およびNPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標です。
NPS®調査はPDCAサイクルの展開プログラムを実施する対象国数をグローバルに拡大し、2026年4月時点で、日本、米国、欧州、アジアパシフィックの地域(28カ国)で展開しています。
NPS®調査結果は、2014年度のグローバル調査本格展開以降向上を続け、2020年度は22ptとなりました。その後、商品の納品・トナー配送に関連する満足度が大幅に下落したことが影響し、NPS®が低下する結果となりました。コニカミノルタはこの結果を真摯に受け止め、供給遅延の解消と顧客ケアのプログラムによる課題改善に取り組みました。
その結果、2025年度は20ptまでNPS®を改善することができました。
今後も顧客ケアのプログラムを進めるなどしてお客様からの信頼回復に努めていきます。
ヘルスケア事業やインダストリー事業においても顧客満足度を計測しており、その結果をお客様に満足いただける製品・サービス品質の改善に活かしています。
サポート体制
グローバルで統一されたサポートを提供する仕組みを構築
グローバル規模で事業を展開するお客様の多くは、世界中のオフィスで利用する複合機などの情報機器の維持管理を本社で一括管理しています。機器メーカーにサポートを依頼する際、窓口となる本社と、実際にサポートを要するオフィスが別の地域という場合もあり、的確かつタイムリーなサポートを提供するためには、メーカー側にもグローバルな体制づくりが求められます。
そこで、コニカミノルタは、グローバルで統一されたサポートを提供するための仕組みを構築。世界中の販売会社に配置されているサポート担当者を組織化し、お客様に対する窓口を「GSC(グローバルサポートセンター)」として一本化しています。また、専用のITツールを活用することにより、GSCにいただいたサポート要請を世界中の担当者が共有し、ハード面の対応には現地のカスタマーエンジニアが出動、ソフト面では専門スタッフが遠隔サポートで解決するなど、タイムリーで最適なサポートを実現しています。さらに、問い合わせ内容や対応結果をデータベース化し、グローバルに共有することで、サービスレベルの均質化につなげています。
カスタマーリレーション推進担当者の育成制度「CRマスタープログラム」を展開
コニカミノルタでは、世界各地の販売会社のCR推進担当者のスキルアップを目的に、独自のCR活動を体系化した教育・認定プログラム「CRマスタープログラム」を展開しています。このプログラムに参加している販売会社から、CR推進担当者だけではなく、全従業員向けの教育プログラム開設の強い要望があり、2017年度に、カスタマーセントリックな考え方・行動指針を現場メンバーに示すe-Learningプログラムである「CRホワイトベルト」を導入しました。これらの取り組みにより、販売会社においてCRへの理解は着実に広がり、定着が進んでいます。
さらに、CR推進担当者向けには、2023年度よりコミュニティコールを開始し、各国のCR活動事例を共有するとともに、他地域でも活用可能な取り組みとして展開しています。また、2025年には地域別戦略の推進に向けたワークショップを開催し、地域ごとの方針や重点課題を明確化したうえで、CR活動を地域戦略に沿った実践へと発展させています。
「CRホワイトベルト」のe-Learning教材の画像イメージ
サポート品質向上のための研修を外部パートナーも含めて実施
情報機器事業では、世界中すべての地域のお客様に対し、高いレベルで均質なサポートを提供するために、自社グループのカスタマーエンジニアはもちろん、販売代理店などの外部パートナーも対象とした各種の製品技術研修を展開しています。
その中の「製品サービス研修」は、各製品の導入・設置やメンテナンス、修理対応に不可欠なスキルと知識を身につけるもので、インストラクター主導の実践的なスキルアップ研修と、e-Learningによる知識習得の2つの研修形態で実施しています。
また、コニカミノルタ独自の技術資格認定プログラム「OUTWARD」を通じて、カスタマーエンジニアの継続的な技術レベル向上を図っています。このプログラムは、「アソシエイト」からスタートして、「プロフェッショナル」「エキスパート」「マスター」「ディプロマ」という5段階の認定レベルで構成されており、コニカミノルタ製品をサポートするための基本的な知識習得から、ハイレベルな専門スキルの習得まで、段階的なスキルアップを可能にしています。
今後もこれらの研修の対象者を世界的に拡大することで、グローバルな規模でお客様満足を実現していきます。
リモートメンテナンスの導入を促進
デジタルワークプレイス事業が提供する複合機のリモート管理サービス「コニカミノルタiCare」は、セキュアな状態共有を実現し、故障の未然防止や、故障時の迅速対応でダウンタイム削減に努めています。故障時の自動通報のほか、パーツや消耗品の状態を管理しており、適切なタイミングになるとトナーの自動配送やエンジニアが訪問して消耗品の交換などを行います。コニカミノルタiCareは全世界で100万台以上稼働しており、実際の稼働状況をフィードバックすることで、故障予知の精度を日々高めています。コニカミノルタiCareのデータにはビッグデータの分析環境を導入、機械学習や時系列予測、検証を繰り返して使える分析モデルを構築しています。顧客ごとの出力枚数予測に基づくトナー交換の最適化やコールセンターのコール履歴分析など、さまざまな分析モデルを揃えており、高度なデータマイニングでお客様を支援しています。
ヘルスケア事業が提供する製品は、患者さんの生命に関わる医療現場で使用されるため、故障、トラブル、お問い合わせなどについては特に素早い対応が必要です。このためコニカミノルタは、コールセンターを設置し24時間/365日の体制で、医療現場の障害を最短で取り除くための活動を継続的に行っています。特に「お客様の電話待ち時間短縮」「コールセンターの自己解決力の強化」「お客様満足度の向上」に注力し、それぞれKPI※2を設定してより良いサービスの実現に取り組んでいます。
その手段として、国内コールセンターでは、インターネットを介してお客様先の製品を遠隔操作し、トラブルを早期解決する「リモートメンテナンス」の導入を積極的に進めてきました。これにより、エンジニアが出動することなく遠隔でトラブルが解決できるため、製品・サービスのダウンタイムを削減し、医療現場における障害時間の短縮を実現しています。
2025年度にコールセンターが受け付けた電話の約70%がリモートメンテナンスを利用されているお客様からのものでした。結果として、製品・サービスのダウンタイムが年間で約50,000時間※1削減され、2010年度と比較し約2倍の削減時間を達成し、2018年以降はその水準を維持しています。
コニカミノルタは、2017年度に国内医療業界初のCOPC認証※2を取得しましたが、これからも厳格な認証基準を満たすコールセンターの品質を維持、発展させていきます。
- ※1独自の指標で試算
- ※2COPC認証:パフォーマンスの優秀な組織のみが認証を得られるコールセンター向け国際品質基準
リモートメンテナンスの仕組み
デザイン思考による顧客価値の創造
お客様視点での品質向上活動を拡大
コニカミノルタでは、お客様視点での品質向上活動として、日常的にお客様と接している販売会社のスタッフが開発段階での品質評価に参加する「販社合同評価」を実施しています。これに加えて2017年度から、品質に対するお客様の“生の声”を把握するため、品質保証部門や開発部門のスタッフが販売会社とともにお客様を訪問する「C-PIUZ活動※」を展開しています。この活動を通じてお客様の感情を汲み取り、製品・サービスの改善に活かしています。
さらにお客様が真に求める価値を「デザイン思考」で導き出し、開発段階ではその仮説検証を、上市後はお客様に本当に価値として認めていただけたかを検証する手法、プロセスを2018年度に構築。よりお客様の視点に立った製品・サービスの開発に取り組んでいます。
※C-PIUZ(Customer-Problem In Using to Zero)活動:お客様使用時における品質問題の削減を目指すコニカミノルタ独自の活動
「デザイン思考」を活用したサービス開発を推進
デザイン思考とは、お客様への共感をもとに課題を定義し、課題からアイデアを着想して価値を磨き上げるプロセスとマインドセットです。
コニカミノルタでは、デザインセンターが中心となって「デザイン思考」を導入し、「メーカー視点」ではなく「お客様の視点」に立った、価値あるサービスを事業部門と連携して開発しています。働き方が多様化するオフィス領域はもちろん、印刷、ものづくり、医療など幅広い分野において、お客様の現場に寄り添いながら価値創造に取り組んでいます。例えば、グローバルに展開する複合機では、国や業界ごとの働き方やユーザーの困りごとを、インタビューや現場観察を通じて理解し、「体験をデザインする」という考えのもと、コンセプトの創出を行っています。また、試作と検証を繰り返すことで「心地よさ」を追求し、価値の具現化につなげています。
さらに近年では、サービス導入後のお客様の体験にも着目し、販売会社と連携した改善活動に組織横断で取り組んでいます。これにより、長期的な体験価値としての品質向上を強化しています。コニカミノルタは、今後もさまざまな事業領域でお客様が真に求める価値創出を追求し、社会課題の解決に貢献していきます。
デザイン思考を取り入れた活動とツール